ダーハルーネ ページ9
｢お姉さま、クレープがありますわ！｣
｢セーニャ、負けちゃダメよ…！｣
｢お、1口ワッフルキャラメル味。｣
｢お姉さま…ここに悪魔が…｣
｢あら〜、チョコバナナよ！フレーバーがたくさんあるから、迷っちゃうわね！｣
｢おい、ドックに行くんだろ？よそ見してんなよ。｣
｢あ、ワイルドな煮込み料理の露店だ。｣
｢何！？｣
｢はぁ…｣
───
ドック前にいる男に、船を出したいから開けてくれないか、と頼むが返事はNOだった。
｢ンもう、イレブンちゃん聞いて〜！この男の子が意地悪して、アタシをドックに入れてくれないのよ〜！｣
｢ちっ……違います！もうすぐ町で、コンテストが開かれるので今ドックは閉鎖中なんです。｣
｢んだよ、それ。｣
｢つまり、そのコンテストとやらが終わるまでここは開けられないってことか？｣
再度、カミュが聞けば伝統行事である海の男コンテストが終わらない限りドック閉鎖は続くという話だった。
それに食いついたのはシルビアで、詳細を教えろと男に迫れば誇らしげに教えてくれた。
"海の男コンテストとは……
海のように荒々しく、空のように爽やかで、海のように深みを持つ三拍子揃った男を決めるコンテスト"
である。
それを聞いて、カミュは無意識に斜め後ろにいるゼクをチラリ、と見やった。
その視線と合ったゼクは、なんの意味がある視線なのか分からず小首を傾げた。
騎士に反応された事で見ていたことを自覚し、慌てて視線を前の男に戻した。
｢なので、この時期になると美しい肉体美を誇る逞しい男や、潮風の似合う美男子が続々とこの町に集まってくるんですよ。｣
説明し終えた男がゼクを見てあなたもその口で？、と聞いてきたが、ないない、と手を振ってゼクは否定した。
説明を聞いたシルビアは、殊更興味を持ってしまいそのコンテストを見てから出発しようと提案してきた。
あろうことか、シルビアは双子までも誘惑し始めた。
｢……海の男コンテストにはキョーミないけど、ショッピングは面白そうね。あたし、新しいクツが欲しいところだったの。｣
｢おーいー、ちょっと待てよ。｣
｢オレたちは、虹色の枝を探しに来たんだぜ。遊んでる時間なんて、ねぇだろ？｣
頼みの綱であるセーニャに2人が視線を向けるが、スイーツ大好きセーニャちゃんはいとも簡単に裏切る。
シルビアは双子を連れ立って、離れていった。
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作者名：春月是駒 | 作成日時：2023年4月1日 23時
