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事件が解決し、一行は宿屋へと戻った。


「ゼク、早くシャワー浴びろよな。」

「そーする。派手に返り血浴びたからなー。」


鮮やかな赫い髪は、浴びた返り血で淀んだ色になっていた。
カミュに言われて意識してしまったが故に、汗と戦いの名残が気持ち悪くなったゼクはその場で服を脱ぎ始める。


「バッ…カ!アッチで脱げって!」

「んだよ、付いてるの同じモンだろ。」


それに今更だ、と言うゼクはニヤついている。
そのせいでカミュの脳裏にまで回帰した枕を交わした夜の記憶が、顔へと熱を集めた。


「クククッ…真っ赤、俺の髪みてー。」

「うるせぇって、いいから浴びてこいよっ。」


フイッ、と顔を逸らしたカミュだったが、数秒後にはゼクによって戻された。


「…なんだよ。」

「ん?…可愛かったなって、思い出してただけだ。」

「殴るぞっ!」


カミュは羞恥心いっぱいで、左ストレートを言葉と同時に放った。
ゼクはそれをいとも簡単にパシリ、と受け止め頭上へと捻りあげる。


「つっ…」

「体術に関しちゃ、お前は俺に勝てねーよ。」


まだまだだなー、と青を煽っておいて赫は触れるだけのキスをした。
硬直してしまったカミュをそのままに、ゼクは楽しげにシャワーを浴びに行くのであった。


───

翌朝、ゼクは自分を呼ぶ声が聞こえてきて、意識を夢の中から浮上させた。
目を開けると、ニッコニコなゴリアテがいた。


「ゼクちゅわ〜ん!」

「はーなーれーろーっ!」


今にもキスしそうな勢いのゴリアテを、ゼクはデスクローで己から離していく。


「痛い!痛いわ、ゼクちゃん!」

「うるせー!自業自得だっ!」


十分離れたと思ったところでゼクは手を離し、オマケとばかりに枕を投げつける。
戦い後の疲れとは違う気だるさをゼクの身体は覚えていて、いるはずの人物がいないことに気づく。


「……カミュは?」

「カミュちゃんなら、イレブンちゃんのところよ。お預けになってた仮面武闘会の表彰式、今日やるみたいなの。それを教えに行くって出てったわ。」

「なるほど…ナビュしに行ったのな。」


シーツをはぐりベッド下へ足を下ろすと、自身の脱ぎ散らかした服を踏みつけた。


「良かったわね、付き合えることになって。」

「…突き合うことにはなったけど、付き合うことにはなってねーかも。」


自分の言葉で、先走り順序が変わったことを自覚した朝だった。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年4月1日 23時

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