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「……
「何言ってるかわかんないんですけど!?てか、紫音!まだ、鼻の下伸びてるよ!?確かにお姉さんたち、綺麗だったよね!けど、禰豆子ちゃんの方が可愛いし!って、そうじゃなくて!!紫音は俺の恋人でしょ!?」
「ん、俺は善逸の恋人だよ?お姉さんたちに嫉妬する善逸が、可愛すぎって言ったんだよ。」
「なっ……!」
「二人の世界作ってんじゃねぇよっ!」
ゴツン!、俺と善逸の頭頂部に落とされた拳骨。
犯人は、師範だ。
「お前にはまだ早いっ!」
「ちょっ、師範!善逸引き摺るのやめてくれない?」
「うるせぇ!お前も何、一緒にフラフラしてんだ!止めろよ!」
師範にズルズル引き摺られる善逸を追いかけながら、俺は抗議するが聞く耳を持ってはくれなかった。
「よく見とくんだな。」
善逸の襟首から手を離した師範は、そう言って俺たちに話し始めた。
遊郭とはどういうところか。
遊女とは何なのか。
何故、師範が遊郭に嫁たちを潜入させたのか。
一人、あらましを以前に聞いていた俺は抱き着いてきた善逸を宥めていた。
「そうなんですね…」
「さて、下見は十分だ。行くぞ。」
そう言って師範はどこかへ向けて歩き出した。
はぐれたらまずい、と思った炭治郎が、伊之助を連れ立って追う様に歩き出す。
「ごめんよぉぉ、紫音。俺のせいで、とばっちり受けたよね……」
「
「……ごめんって言ったの?異国語で?だとしたら、紫音が謝ることじゃないでしょ。…まぁ、勝手にフラフラしてた俺も悪いけどさ。」
幾度となく口にした異国語は、今やっと意味が通じて俺は思わず微笑んでしまった。
「追いかけないと…って、何笑ってんの?」
「
師範に離されてしまっていた手を繋ぎ直そうと、俺は右手を善逸へ差し出す。
子供じゃないわ!、と怒ってはいたが、耳も頬も赤かったからそれは照れ隠しなんだな、とまた微笑した。
「……また笑ってる。」
「照れてる善逸可愛いから…つい、ね?」
チラッ、と視線を向けると、善逸の目と合った。
途端、善逸はポッ、となって顔は伏せられた。
そんな反応を返した善逸に、俺はまたフッ、と笑った。
視界の端に、
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月11日 22時