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それを俺が後ろから手首を掴んで、止めさせる。
左頬にクリーンヒットしたのか、男の子の頬が赤くなっていた。


「何時私が貴方を好きだと言いましたか!!具合が悪そうに道端で蹲っていたから、声をかけただけでしょ!?」

「えー!?えーーーー!?!?俺の事好きだから心配して、声掛けてくれたんじゃないのぉぉぉぉおお!?!?」

「私には結婚を約束した人がいますので、絶対に有り得ませんっ!それだけ元気なら大丈夫ですねっ!さようならっ!!」


そう吐き捨てて、女の子はプリプリ、と怒ったまま踵を返して去っていった。
その背中に待って待って、と手を伸ばす男の子。


「お前、もうやめろ。」

「なんで邪魔するんだ!お前らには関係ないだろぉぉ!?」


そう言われるが、あれは人としてどうかと思う。
そんな事を思って炭治郎へ視線を向ければ、男の子を別な生き物を見るような目で見下ろしていた。


「炭治郎、そんな目で見ないであげなよ。」

「っていうか、お前もだよ!責任取れよ!!ある意味お前のせいで結婚出来なかったんだからぁぁぁ!!」


ビシッ、と音が鳴りそうな勢いで、俺は男の子に指を差された。
俺はジィッ、と男の子を見た。
涙と鼻水で、顔はぐしゃぐしゃではあったけど、俺の心臓がとくん、と鳴った。
炭治郎は、関わりたくないのか黙りを決め込んでいる。


「いいか!?俺はもうすぐ死ぬ!次の仕事でだ!俺はな…物凄く弱いんだぜ!舐めるなよ!?俺が結婚出来るまで、お前は俺を守れよな!」

「そうか、君は弱いのか…舐めないよ。強い者が弱い者を助ければいいんだから。オーケー。君の事は、俺が守るよ。」


そんな男の子からは、俺と炭治郎への怒りの音と、死への恐怖の音が混じって聞こえてくる。


「俺は鏡月 紫音。紫音でいい。で、そっちの君のことを別の生き物のように見てたのが「竈門炭治郎だ!」

「そうかい!ごめんなさいねぇ!俺は我妻善逸だよ!助けてくれよ、紫音〜!」

「うん、助けてあげる。」

「ちょっと、鏡月さん!助けてくれってなんだ?なんで善逸は剣士になったんだ?なんでそんなに恥を晒すんだ?」


俺に縋りついてきた善逸を、炭治郎から守るように腕の中に閉じ込める。


「炭治郎、言い方酷くない?」


善逸が剣士になった理由。
女に騙され借金まみれになり、それを肩代わりしてくれたのが育手だったらしい。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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