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その後ろで、服に着いた善逸の鼻水をどうにかしろ、と騒いでいる。
が、俺たちは誰一人見向きもしない。


「なんか喉、潰れてるらしいよ?」

「えぇ!?」

「詳しいことよくわかんないけど、首をこう…ガッ、とやられたらしくて、それで最後自分で大声出したのがトドメだったみたいで、喉が偉いことに…落ち込んでんのか、凄く丸くなってて凄く面白いんだよな!」

「ゴメンネ…ヨワクッテ」


俺は強い、と自信満々だった伊之助がそこにはいなかった。
潰された喉よりも、重症なのは心の気がして。


「頑張れ、伊之助!落ち込むなんて、らしくないぞ!」

「お前はよくやったって!すげぇよ!」

「生きててくれて、俺は嬉しいんだ!」

「伊之助、君ならそこから這い上がれるよ。」


俺たちは励ますが、伊之助は黙ったままだった。


「あ゙ーーーっ!?俺朝の薬飲んだっけ!?飲んでるとこ見た!?ねぇっ!紫音見た!?」

「見てたよ?飲んでないね、善逸。」

「飲んでないのね!?もー、やだー!」

「俺もまだだから、一緒に飲むよ。」


───

蝶屋敷で治療を受け始めてから、今日で一週間経った。
病室は善逸と同室。
…炭治郎と伊之助もいるけど。


「ほんっとに、苦いんだけど!?いや、分かるよ!?良薬口に苦し、っていう言葉があるくらいだから!でもさ!限度ってあるよね!?ないの!?あるよね!?毎日毎日…やだよ!もーいやーーーーっ!」


そう泣きながら訴えているのは、相も変わらず善逸で。
平然と薬を飲み下した俺を、涙目でじとぉっ、と見つめている。


「何?」

「…絶対、違う薬飲んでるよね!?というよりも、それ本当は砂糖なんじゃないの!?」

「…確かめて、みる?」

「どうやってさ!もう飲み込んだよね!?え…吐くの!?!?それ、飲ませるの!?!?え!?え!?」

「吐かないよ…」


思わぬ方法に、俺は思わず苦笑い。
ヤダヤダ、と涙を流す善逸の寝台へ、俺は湯呑みを寝台横の台に置いて隣の寝台へと向かう。


「吐いたの飲ませるなんて、しないよ?善逸の中の俺って、そんなことさせるんだね…」

「いやいやいや、一回もされたことないから。俺の中の紫音は、凄く優しくてかっ…」

「ん?」

「っ…なんでもないわー!」


ベラベラ、と饒舌に語ってたかと思えば、善逸は急に赤くなってムキーッ、と怒り出した。


ごめん(ソーリー)、揶揄いすぎた。」

「…で、どうやって同じ薬か確かめるんだよ。」

「こうするんだよ。」

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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