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善逸へ寄って来ている人であった者たちに、師範直伝の爆薬丸を撒き散らし爆風で遠ざける。
刀を両手に持ち、人面蜘蛛目掛けて跳んだ。
「音の呼吸、弐ノ型…「斑毒痰!」
一気に方をつけようと、音の呼吸でも最速の一閃技を出そうとするが人面蜘蛛は咄嗟の判断で紫色の禍々しい液体を俺に向けて吐き飛ばしてきた。
それを、宙で身を捩り右へと回避する。
吐き飛ばされものは、木の幹に被弾しそれをジュウ、と音を立てて溶かしていた。
俺はまた、同じ構えをする。
「音の呼吸、弐ノ型…」
「お前たち!飛びかかれ!」
人であった者たちが襲いかかってくるが、無闇に命を絶つ訳にもいかず何度か飛び跳ねて躱す。
躱しきったら、俺はまた同じ構えをとる。
「さっきからずっと同じ構えを何度もしているな…さてはお前…一つの技しか使えないな?」
「お前、何地味に弐ノ型ばっか使ってんだよ他の型も使えるだろ。」
「音の呼吸にしては地味だから。」
「ほんっと、可愛げねぇな!図体もでかいし、態度もでかい!でかいのは乳房とケツだけでいいんだよ!」
「それは俺に求めるものじゃないよ、師範。」
いつかの師範との会話を思い出した。
別に、使えない訳じゃない。
ただ、今も地面を這いずり回っている人であった者たちが助かるのなら、無闇矢鱈と技を連発する訳にはいかない。
ましてや、俺の音の呼吸はほとんどが爆発がある。
それ故に、弐ノ型を使っているに過ぎない。
「クックックッ、大したことのない奴だなぁ?どうだ?そろそろ、体が痺れてきただろ。」
「何言ってるの、元気だよ。知らないんだ、俺は強いの。体が痺れるくらいで、お前ととんとんなんだよ。」
単なる虚勢。
事実、人面蜘蛛が言うように手足に痺れが出てきている。
「音の呼吸、弐ノ型…「刺せ!もっと毒を打ち込めっ!」
人面蜘蛛がそう命令すると、人であった者たちが口を開き喉奥から毒針を伸ばしてきた。
それを躱すが、着地と同時に俺は吐血した。
動き回っているから、毒の回りが早い。
足も痺れている為、すぐに動けずにいると人であった者たちが俺へと飛びかかってきた。
殺す訳にはいかない。
だからといって、俺がみすみすここで死ぬ訳にもいかない。
俺は自らの足元に、爆薬丸を複数投げつけた。
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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時