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「この仕事で本当に守ったら…」


信用してくれる?、と続けようとしたが家が揺れるほどの大きな音がなりその場の皆が、それに気を取られた。
悲鳴を上げた善逸が、体を倒すと後ろにいた女の子と炭治郎を襖の向こう側へと押し込んだ。


「あ…ごめん、尻が…」


その時、一つポン、と鼓が鳴った。
すると、今そこにいた炭治郎と女の子が消えた。


「消えた…」

「あ…え、お…俺……や、やっちゃ……った?」

「そうらしい。」


その後も五回、鼓の音が聞こえた。
けど、残った俺たちには別段何かが起きたわけでは無さそう。


「死ぬーーーーっ!死ぬ死ぬ死んでしまうぞ、これは死ぬーーーっ!炭治郎と離れちゃったぁ…!」

「照子ー!照子ー!」

「待って、落ち着いて二人とも。大声は出したら駄目だ。悪い奴に聞かれたら、まずい。」

「そ、そ、そうだね!ちょっと外に出よう!」


善逸がそう言うと、何故外に出ようとするのか、と男の子・正一が聞いてきた。


「自分だけ助かろうとしてるんですか?」

「え…?」

「死ぬとかそういうことずっと言って、恥ずかしくないですか?」

「はうっ!」


正一の紡ぐ言葉が、善逸にグサリグサリ、と刺さっていく。


「…大丈夫か?善逸。」

「凄い切れ味の言葉が…」


最後には後ろへバタリ、と倒れ血を吐いた。
かのように、見えた。


「違うんだよ!俺じゃ役に立たないから!人を…大人を呼んでこようとしてるんだよぉ!子供だけでどうにか出来ることじゃ、ないから!これは!」


立ち上がったと思えば善逸はそう言いつつ、入った引き戸まで引き返した。
ガラッと開ければ、外。
のはずが、部屋が続いていた。


「嘘だろ嘘だろ嘘だろぉ!?ここが玄関だったのにぃ!」

「…厄介だね、たぶん鼓が鳴ると部屋が変わるのかも。」

「紫音!外はどこに行ったの!?」


外に続く引き戸は、今善逸が開けたところで間違いない。
けど、事実として外には繋がっていなかった。
善逸がここか、ここか、と襖や障子を開けるがどこも部屋に繋がっていた。
そして、最後に開けた襖の先には猪頭を被った人間(化け物)がいた。
襲いかかってくるかと思いきや、猪頭は走ってどこかへ去っていった。


「善逸!無事か!?」

「大丈夫じゃない!なんだよ、やだそんな目ぇ!」


ズビシッ、と指を差したのは正一へだった。

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作者名:春月是駒 | 作成日時:2023年6月1日 18時

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