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朝起きて、Aの家の前で、Aを待っていた。
Aに、弁明をするために。
しばらく待つと、ガチャリと音がして、扉が開いた。
「行ってきます……。
……あれ、坂田?どうしたの」
「へへ、Aと一緒に行きたいなぁと思って、待っとったんよ」
すると呆れたような、それでいて安心したような様子で少し笑って、
「……そ、LINEしてくれればわざわざ待ってもらわなくても良かったのに」
「あっ、ほんまやん!……ま、待つ時間も楽しかったしええよ、うん!」
そう言ってにこにこと笑顔を見せる。
*
「そうだ坂田、あのさ」
2人で駄べっていると、Aが何かを言い出そうとしていた。
……センラとのことだろうか。
―――聞きたくない。
Aが話そうとしていたところに、言葉を重ねる。
「あのな、A、俺な、」
「……坂田?私の話を―――」
「俺、絢香ちゃんと別れたんよ」
大きく目を見開いて驚くA。
Aはまだ、このこと知らんもんな、
センラは知っとったけども。
結局最後まで言わへんのか、センラ。
「……前、絢香ちゃんのこと……その……。
押し倒して、た、でしょ、坂田は。
適当なこと言わないで、」
「絢香ちゃんに、嵌められたんよ、Aが、わざと勘違いするように。」
「……絢香ちゃんと、いつ別れたの?」
「ん?……あぁ、そやなぁ、絢香ちゃんがカッターで自分の腕を刺す、ちょっと前?」
「なんで、そんなこと今更言うの、その時言えばよかったのに、」
だんだんとAの話すスピードが上がっていく。
「なぁ、A、俺な、……Aのこと、」
「わ、……私、今日、センラくんに、告白するつもり、だから、やめて」
「俺、Aが好きやねん」
Aの視線が揺れる。
「な、んで、」
「……考えといてや、お願い。
フラれたら、もう諦めるから、ねぇ、お願い」
「……っ、わ、かった」
「……俺、もう、A以外のこと、見ぃひんから、だから――――――」
「お、おはよ!A!坂田!
坂田の方が早いなんて珍しいなぁ!」
「……せ、センラ!おはよう!」
……センラ。いっつも大事なとこで邪魔しやがって、ほんまに、
……はぁ。
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柚子(プロフ) - いい感じにすれ違って行ってますね(?)まぁ楽しみということです!頑張って下さい (2020年4月11日 22時) (レス) id: f5a2d726a8 (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - うわぁ…気持ちは分かるけど絢香ちゃん腹黒だぁ…坂田さん、複雑な気持ちだろうな…。更新待ってますね (2020年4月11日 0時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
きほん(プロフ) - はじめまして、とてもキュンキュンしながら読ませていただいています!ドキドキハラハラキュンキュンで、個人的にはどちらのオチも見てみたいですが、どうなるのかとても楽しみです! (2020年4月9日 0時) (レス) id: d19256ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ - 年下組が夢主ちゃんのことでバチバチ(?)なっているのがキュンとしました。あと、作者様の書く文がとても好みです!その文才を私にも恵んで下さい…長文失礼しました。 (2020年4月3日 12時) (レス) id: 5d83f022ba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月30日 0時