【歌い手】お願いだから嫌いにさせて

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もうすぐ7時になる頃。

先生にお礼を言い、家を出る。

ちなみに買った荷物(お土産)はダンボールに詰め、家へ宅急便で送った。
流石にあの量は無理だった。


*


「なぁA、この後どうする？新幹線までまだまだ時間あるで」

「そうだね……。でも初日で行き尽くした感ない？」

「それはそうやけど……。あ、京都駅内を探索するってのはどう？広いし」

「お、いいかも。あ、そのあと京都タワー行こうよ」

「ええやんええやん、そうしよか」


*


「センラあっち行こ」

「えぇ、まだ行くん？」

「まぁまぁ」


京都駅内にある空中経路。
随分前にネットで見たのを、今日の朝思い出した。

京都は高い建物がないから、すごく景色が綺麗に見えるらしい。

楽しみ……


*



「……へぇ、よぉ知っとんな、こんなとこ。
景色綺麗やねぇ」

「ね、高い楽しい」

「あ、あそこ先生の家やん」

「ほんとだ、小さく見える」


すごいなぁ、……そういえば


「そういえば、センラって前どこ住んでたの？」

「あー、あっち。あのくすんだ黄緑の屋根の家の、隣。」

「……?」


「ほら、あっち。」

と、後ろから顔をくい、と右の方に向かされた。

そしてセンラが指さす方向にはくすんだ黄緑の屋根の家を見つけた。


「あ、あれか」

「そ」


「……顔、近くない？」


左を向けば頬が当たってしまいそうな近さ。

センラってこんなに(物理的な意味で)距離感近い人だったっけ


「……えっ、あ、ごめん!つい!嫌、やった？」

「普通」

「ふ、普通……普通かぁ……普通……。普通ってなんなんや……」

「普通」

「うーん……」

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