【歌い手】お願いだから嫌いにさせて

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「……わ、綺麗」

「もうすっかり暗くなったもんなぁ」

「そろそろ駅行かなきゃね」


僕らはケーキも食べ終わり、ゆっくりと話をしていた。


「ま、駅まで5分もかからんし、いい感じの時間帯になったら行こか」

「うん、行こう」


*


京都タワーを出て、帰るために駅へ向かう。

月も昇(のぼ)り、街には光が灯っていた。


「A、楽しかった？」

「うん、すごく。センラは？」

「楽しかったで、Aも一緒やし」

「そ。」


Aに新幹線のチケットを渡し、改札を通り、新幹線に乗り込む。


*


自分とAの荷物を上に乗せている途中で、新幹線が発車した。


「……ふぅ。A、眠かったら寝てもええよ、起こすから。」

「……ん、じゃ、寝るね、ちょっと疲れた」

「了解。おやすみ」

「ん、おやすみ。」


毛布を渡すと、それにくるまって、壁に寄りかかりすぐに眠ってしまった。


1泊2日だけど、いろんなところ行ったから、そりゃ疲れるよなあ。


自分もすこしゆっくりしようかな、と思い、本を取り出してまた読み始めた。

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