【歌い手】お願いだから嫌いにさせて

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SIDE:センラ


「……お前ら荷物多くね？」

「いやぁ、楽しくなっちゃって」

「まだ1日目やねん、アホか」

「へへ、つい……すみません先生」

「Aちゃんの先生やないけどな」

紙袋を両手に3つずつ持ったA。
多ない？って途中で聞いたら”もう京都こないかもしれないし”ということらしい。

俺も途中で持ったが、結局俺も両手に3つずつの紙袋。

A、持って帰ること考えてるんかな、多いけど。


「……ていうか、センラの話聞いて、お前らどっちも男かと思ってたから、一部屋しかないんだけど……大丈夫？」

「え、こんなに広いのに一部屋しか空いてないん？」

「俺にも色々あんだよ、パソコン置いたり本置いたり」

「はぁ……」

「センラと一緒の部屋……か」

「あ、嫌ならこの俺と一緒でもええんやで、先生って慕われてる俺やで」

「……センラと寝ます」

「なんか負けた気がするんやけど……センラ、1発殴らせろ」

「なんでやねん！いった！」


＊


「……じゃ、おやすみ」

「はい、ありがとうございます」


ガチャリ、と扉が閉まる。

……思ったより部屋が狭い。
部屋自体が狭い、というよりは物が多くて、狭い。

片付けくらいしろや。


……、

……Aと一緒に寝る……って、冷静に考えたらヤバくないか。

お試しで付き合ってるだけなのに……こんなんええの、こんなに幸せなのを。

「……あー、神様ありがとう」

「どうしたのいきなり、怖」

「神様ってほんま凄いなぁと思って」

「こわ」

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