25 ページ25
SIDE:A
「ねえ、センラくん。センラくんってなんで私と仲良くしてくれるの?」
「なんや、病み期?」
「やっぱいい」
「ぁぁああ、ごめん!えーっと、一緒にいて楽しい、じゃ、あかん?」
「……悪くない……」
「悪くない、て……何それ……
ま、お気に召したなら光栄ですよ、Aちゃん」
「最近それ好きだね」
「まあそやね」
*
「……なあAちゃん、Aちゃんって坂田に彼女できた今も好きなん?」
「……好き、だよ。今まで彼女できたことなんて何回もあるし、慣れっこだよ」
「ふぅん、だいぶ傷ついてるように見えるのは気のせいかぁ」
「……」
「なあ、坂田じゃなきゃあかんの?」
「ちっちゃい頃から好きだしね」
「なあ、俺と付き合うのは嫌?」
じっと目を見つめられる。
「ど、したのいきなり」
少し間が空いて、
「……なんてな!純粋やねえ、Aちゃんは」
「からかわないで」
「はは、ほら、行こーや、教室」
「……うん」
*
教室に入ると、絢香さんが、何かを話しているみたいだった。
「Aちゃんに嫌われてるかもしれないってのは本当だけど、いじめられた事なんてないから、あんまりAちゃんの悪口言わないでほしい、な、」
だから、嫌ったことなんてないから。
そう思った時、坂田が私の気持ちを分かったように、言ってくれた。
「なあ、考えてみたんやけど、Aが絢香ちゃんのこと嫌ってるって、多分勘違いやないの?A、そんなことする子ちゃうし」
だが、すると絢香さんはちょっと不機嫌な顔になり、
「……ねえ、坂田くんって、Aちゃんの方が大事なの?」
「……いきなりどうしたん、そんなこと」
「Aちゃんの方が大事そうだから」
「比べるもんやないよ、彼女と幼なじみ。な?どっちも大事なんよ」
……彼女。分かっていたのに、いざ聞くとなんだか辛い。
後ろから、声をかけられた。
「なあ、Aちゃん。やっぱちょっとええ?」
「え、あ、うん」
*
手を引かれ中庭まで連れ出される。
木陰のベンチに二人で座り、沈黙が続く。
センラくんが先に口を開いた。
「なあ、Aちゃん、って坂田のこと、好きなんよな?」
「そうだけど、」
「やっぱ、俺じゃあかんの?」
「……それ、さっきも――――」
「俺と、付き合おうや、Aちゃん、絶対大切にしたるから」
「へ」
あまりにもストレートな告白に、少し戸惑ってしまう
「……好きやで、Aちゃん」
343人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
柚子(プロフ) - いい感じにすれ違って行ってますね(?)まぁ楽しみということです!頑張って下さい (2020年4月11日 22時) (レス) id: f5a2d726a8 (このIDを非表示/違反報告)
絵が上手くなりたい(プロフ) - うわぁ…気持ちは分かるけど絢香ちゃん腹黒だぁ…坂田さん、複雑な気持ちだろうな…。更新待ってますね (2020年4月11日 0時) (レス) id: e48c7240eb (このIDを非表示/違反報告)
きほん(プロフ) - はじめまして、とてもキュンキュンしながら読ませていただいています!ドキドキハラハラキュンキュンで、個人的にはどちらのオチも見てみたいですが、どうなるのかとても楽しみです! (2020年4月9日 0時) (レス) id: d19256ebb3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ - 年下組が夢主ちゃんのことでバチバチ(?)なっているのがキュンとしました。あと、作者様の書く文がとても好みです!その文才を私にも恵んで下さい…長文失礼しました。 (2020年4月3日 12時) (レス) id: 5d83f022ba (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しゃけ | 作成日時:2020年3月30日 0時