25時、捻れたコードで。

2.どこかで ページ26

「『おや、もうこんな時間か……。明日も学校があるし、ボクはそろそろ落ちるよ』」

「『あー……。昨日徹夜したし、オレもそろそろ寝よっかな……』」

「『わかった。僕はもう少し続ける』」

「『俺ももうちょっと進めよっかな。トランプくんも薔薇くんもお疲れ！ また明日！』」




˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩☪︎⋆｡˚✩˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩⋆｡˚✩




カチャカチャと食器が音をたてる。その親子の間に、朝のさりげない会話は無かった。


「ご馳走さまでした。それでは行ってきます、お母様」

「今日の帰りは門限通り？」

「はい。5時前には帰れるかと」

「遅れそうな時は連絡するのよ」

「はい、お母様。それでは」

「えぇ。いってらっしゃい」




˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩☪︎⋆｡˚✩˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩⋆｡˚✩




エースは、タッタッタとペンを走らせては消したり色を入れたりを繰り返す。


「ここの塗り、あんま上手くいかないなぁ……影の色もなんか気持ち悪いし。もうちょっと青くするとか？ でも、これ以上は……

……だぁーーー！ 今日、ぜんっぜん駄目だ！ 描けねぇ！
…………動画のストック、あったよな…………これでいっか。タグは…………っし、投稿っと」

『何がどうなってるか全然分からない…』

『トランプ、やっぱすげぇ…ファンだわ…』

『っていうか、このマジックしてる人イケメンじゃね？』


彼の投稿した動画には、すぐにたくさんのいいねと様々なコメントがつく。それをスクロールしながら、嘲笑うように「ははっ」と笑った。


「こーんな簡単な仕掛け(マジック)で、もうこんなにいいねつくし……世の中甘っ！ フォロワーも増えてきたし、そろそろ7000人……




……まぁ、イラスト(こっち)のアカウントは全っ然フォロワー増えないんだけどさ」




˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩☪︎⋆｡˚✩˚✩∗*ﾟ⋆｡˚✩⋆｡˚✩




「この素材、あんまり今回のやつには合わないかなぁ。デザインはいい感じなんだけど。いっそのこと、自分で作ってみるとか？ でも……」

プルルルルル………プルルルルル……

「……ん？ 電話……

もしもし〜！ お疲れさま♪ 急にどうしたの？ …………あ、その映画、ちょうど気になってたんだよね！ いつ見に行くの？ ……あー、ごめん！ その日はどーしても外せない用事があって……うん、ごめんね〜
……ってか、今授業中じゃないの？ ……あ、この時間は休み時間か！ あははっ。じゃね〜

次ページ→←前ページ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す