【文スト】その娘、最強につき要注意 (ページ11)

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きゅうページ11

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「それで？この子供を保護してきたのか」
「すみません…」
男の声は震えていた。上司の眼鏡が光る。
男の背後のソファーに、和服の少女と幼い子供が揃って座り、共にクレェプを頬張っていた。先程屋台で買ったものだ。
事務員が子供の相手をしていた。
「糞っ、こんな時に太宰の阿呆は…」
「あ、太宰さんなら屋上に行きましたよ」
「何だと？！」
上司が苛立ちを増幅させるのを、男は苦笑いで宥めることしか出来なかった。
結局、男は少女を連れて帰還したのだ。少女を宥める為にクレェプを買ってあげて、落ち着いてから少女に事情を聞いた。曰く、兄とはぐれて迷子になったのだと。それにヨコハマに来るのは月に数回だと云っていた。迷子になっても仕方ない。
小学生の齢だとしても、見知らぬ土地に一人残されては何も出来ないだろう。
少女は、男に電話をかけさせてほしいと云って、探偵社迄来たのだ。兄の電話番号は覚えているらしい。
「娘、その兄の電話番号は判っているんだな？」
少女は澄んだ瞳で声の主(ｱﾙｼﾞ)を見つめ、「うん」と頷いた。そして何を思ったのか「お兄さん何歳？」と眼鏡の男に問うた。
男はむ、と疑問に思いつつも「22だ」と答えた。
「へぇー意外！お兄さん顔怖いからもっと年上かと思った！」
笑顔で云い放った。
子供は正直過ぎるのだ。
上司の姿を見て、男は苦笑することしか出来なかった。

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