15話 ページ16
「……」
私は1983と書かれた地点から読み始めた。
彼女は1983年 クロアチアのヴコヴァルで生まれた。
次に書かれたのは1989年
彼女が6才となった年であり、初等教育が始まったと書いている。
ここまではただの平和な経歴である。
だがそんな彼女の経歴が狂い始めたのは彼女が8才を迎えた後
1981年の8月からである。
彼女が暮らしたヴコヴァルの町はセルビア人の武装勢力により破壊されたと書かれている。
そのために彼女達5人家族はボスニア・ヘルツェゴビナのフォチャに逃げる形で引っ越した。
だが、そのフォチャの町も永遠の平和が約束された土地ではなかった。
1992年4月
フォチャの教会で普段通りに礼拝をしていたクロアチア人数名と、彼女の両親が紫陽 ネオに殺された。
父親は銃撃された後、喉元を斬られたのを見たと書かれ、母親は辱められた後に殺害されたと書かれている。
生まれ育った国は紛争地だったが、セルビアから逃れるにはクロアチアを目指すしかなかった3人は北に向かうための生活を始めた。
そしてそんな3人の逃亡生活が終わり、定住の地を得られたのが1993年4月
国際連合により[安全地帯]と見做されたスレブレニツァに彼女達は定住を決めた。
スレブレニツァという土地は…
フォチャよりも血生臭い報せが日本国にも流れてきた土地である。
この地名を見た瞬間
彼女以外の2人の兄に何かが起きたのだと読む前から察した。
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作者名:ロンヌ | 作成日時:2022年7月4日 23時