キミはヒーロー ページ46
坂田side
「...っなかなか早く来てもうたな...」
スマホで時間を確認すると、病院の面会時間開始から5分しか経ってへんかった。
確かにAにはよ会いたいと思ってたけどまさか、こんなに早かったとは自分でも驚きである。
「おはようございます、面会ですね。面会される方をお聞きしても宜しいですか？」
「あ、都築Aです。」
受付の人にAの名前を告げると、面会するための手続き(名前を書くだけなのだが)をしてくれた。
「お名前をここに記入お願いします」
そう言われて、僕はボールペンでそこに自分の名前を書くため紙を覗き込んだ。
(...都築って名前3人おるやん...もしかしなくてもAの家族やん!?)
都築が並ぶ名前の下に坂田と書き、俺は受付の人に紙を渡し、面会の承認を受ける。
Aに会うだけやと思ってただけやったのに家族がおるという予想外のことが分かり、なんだか、緊張してきた。
...最初なんて自己紹介するべきなん...。
友人...？いや僕、この前Aに告ったしな...普通の友人とはちゃうし...。
頭の中でグルグルと考えが巡る。
と、そんなことをしていたらあっという間にAの病室がある階にたどり着いた。
「貴方なんて誰も必要としてないわ。」
...はっ？
静かな病院内にそんな声が聞こえた。
そのあと2つの止める声が聞こえるが、同じ人の声がまた聞こえる。
僕の足は勝手に動いていた。
「だってそうじゃない!!人に迷惑かけて、そんなあなたを必要とする人なんているはずないじゃないの!!!」
僕はなにふり構わずにその病室の扉を開いた。
「それはちゃいます」
少し乱れた息を整えながらはっきりと告げる。
その病室には、女性とその人を止めようとする男性と若い女性がいた。
きっとAの母、そして父と姉であろう。
そして奥には涙をながす...Aが。
僕はカバンをその場に投げ捨ててAへ駆け寄った。
彼女の涙を指で拭い、ギュッと抱き寄せる。
「Aのお母さんですね、
初めまして、僕はAの彼氏の坂田明って言います。僕にはAが必要なんです。
その言葉、撤回してください」
Aの母は驚いたように、目を大きく見開いた。
「...A、あなたにもそんな人がいたのね...」
彼女の母はどこかほっとしたようにイスに座り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 254人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちょこ - とてもよかったです！その後話が欲しい！ (2021年2月20日 20時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
ももんが(プロフ) - 寂しい、、出来れば番外編を、、、お願いしますぅ、、一生のお願いです！ (2019年9月28日 17時) (レス) id: 5f1c65421c (このIDを非表示/違反報告)
スイカ(プロフ) - うるさん» センラさんからこちらにも!!ありがとうございますっ!!そういって貰えてハッピーです!!これからも頑張りますね！ (2019年9月24日 23時) (レス) id: e51077db8a (このIDを非表示/違反報告)
うる - センラさんの方から来たものですがやっぱりスイカさんの話面白いですね、完結おめでとうございます！ (2019年9月24日 6時) (レス) id: 80ab37ec91 (このIDを非表示/違反報告)
みりん(プロフ) - スイカさん» レスありがとうございます！めちゃ応援します！ (2019年9月23日 16時) (レス) id: 8b66a12330 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スイカ | 作成日時：2019年8月8日 7時
