──中原中也生誕祭 3── ページ35
店内に流れる落ち着いたクラシック音楽。
店主と彼等二人しか居ない静かな空間。
そこにワインの栓を抜く気持ちの良い音が響く。
「こちらが最後の葡萄酒になります」
カウンターに置かれる二つのワイングラス。
グラスの中には今までのものよりも色の濃い葡萄酒が注がれていた。
『中也さん、これが最後なんですが...飲めます?』
Aが声をかける隣には大分酔いつぶれた様子の中也。
先程からあまり時間は経っていないが明らかに酔いの度合いは上がっていた。
弱い人でも楽しめるものを選んだんだけどなぁ...と退屈そうにグラスを弾いて葡萄酒に口をつける。
『中也さ......寝てるのか』
もう一度彼女が隣に目をやると小さな寝息をたててカウンターに突っ伏す彼の姿。
いつも愛用している黒帽子は今にも頭から落ちそうになっていた。
『直接云うのはまた後でも善いですかね』
彼を起こさないようにそっと帽子を手に取る。
その内側に外套から取り出した花の種子を二、三粒入れ、それに視線を集中させて一言小さく呟く。
すると種子は数秒もしないうちに芽を出し、細長い葉を伸ばしながら頂きに紫色の花を咲かせた。
それを確認したAは満足そうに頷き、その中に英文が書かれた小さな紙を添える。
『店主、今日はありがとうございました。彼が起きたら私は先に帰ったと伝えてください』
「はい。かしこまりました」
カラン カラン
軽やかな鈴の音が響き、外の涼しい風が店内に注ぎ込む。
春風に優雅にたなびく黒色の背中を店主は深く頭を下げて見送った。
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煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» 了解です、合っていて良かったです(*^^*)承認しておきますね。最新パートまで読んでいただきありがとうございます!過去編共々頑張っていきます! (2019年6月15日 17時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 最新パートまで読ませていただきました!これからの有島ちゃんが楽しみです! (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 狼楼に直しときました…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» あ!あってます!直すの忘れてた…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» すみません、今「炎化狼」という名前の方の申請をもらっていたのですが、狼楼さんでしょうか?名前に狼とついていたので質問させていただきました。 (2019年6月15日 14時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2018年3月6日 7時