──中原中也生誕祭 2── ページ34
『店主、先日頼んでいたものを』
「はい。かしこまりました」
店主は静かに頷き、背にあるワインボトルが並べてある棚に向かう。
内装はどこか懐かしい木造作り。
灯りは間接照明であり、朗らかな香りも相まって大人の落ち着いた雰囲気を醸し出していた。
『どうですか?なかなか良いお店でしょう?』
「そうだな。悪かねぇ」
そんな会話をしながら少し待っていると、ポンっと気持ちのいい音とともにワインの良い香りが店内に漂う。
スッキリとした葡萄の香りだ。
「お待たせ致しました」
コツンとカウンターに置かれる二つのワイングラス。
その中には淡く少し緑がかった白ワインが入っている。
『まずはやっぱり白ワインです。これから未だ数種類出てくるので若いものを選びました』
「お、Aが選んだのか。...変なモンは入ってねぇだろうな?」
『大丈夫ですよ。此処に運ぶまでの全ての工程に私が関わりましたので。安心安全です』
そう笑顔で云うA。
中也は顔に訝しみを浮かべ、内心こう思っていた。
「(手前が使うと一気に信用出来ねぇ言葉になンだよ......)」
*
街外れのと或る酒場で小さな宴が始まって、はや一時間。
グラスの中のワインはもうすっかり赤くなっており、あと半時間もすればお開きになるだろう。
カウンターにはつまみとしてべたなチーズや白身魚のフライなどが入った小皿が置かれていた。
『そろそろ酔いがまわってきましたねぇ...次で最後でしょうか』
これまでに三本開けて善い感じに酔いがまわってきているAは口直しの水を口に運ぶ。
ふと隣を見るとワイングラスを片手に顔を赤く染め、目は焦点が合っているのか合ってないのか判らない中也の姿。
そんな彼の様子を見てAはくすりと小さく笑う。
『中也さんって本当にお酒弱いですね』
「あ゙ぁ...?俺は弱くなんかねぇよ...」
『はいはい。顔を赤くしながら云っても説得力が』
「大体、手前と太宰がザルなんだよ。だから弱く感じるだけだ」
彼女の言葉を遮って中也はそう吐き捨てる。
どう見ても酔いつぶれる寸前な彼。
『...そうですね。中也さんは弱くないです』
Aは少しの間グラスに入った葡萄酒よりも何処か遠く眺め、何かを諦めたようにゆっくりとその言葉を紡いだ。
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煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» 了解です、合っていて良かったです(*^^*)承認しておきますね。最新パートまで読んでいただきありがとうございます!過去編共々頑張っていきます! (2019年6月15日 17時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 最新パートまで読ませていただきました!これからの有島ちゃんが楽しみです! (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» 狼楼に直しときました…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
狼楼(プロフ) - 煉華☆さん» あ!あってます!直すの忘れてた…汗 (2019年6月15日 15時) (レス) id: 8b97f6f5d3 (このIDを非表示/違反報告)
煉華☆(プロフ) - 狼楼さん» すみません、今「炎化狼」という名前の方の申請をもらっていたのですが、狼楼さんでしょうか?名前に狼とついていたので質問させていただきました。 (2019年6月15日 14時) (レス) id: fa2422e9a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:煉華 | 作成日時:2018年3月6日 7時