一話 ページ2
「…帰ろ、初瀬」
「あっ…う、うん!」
マフラーと手袋をはめて、教室を出る準備をする。後ろからお熱いね〜、という友達二人の声がするが、気にせず有野くんの背中を追った。
有野くんと私は、別に付き合っているだとかそんなんじゃない。だって、どっちも告白なんてしてないし、付き合おうとかそんな言葉は一切私たちの間で交わされていない。
でも、いつからか私たちは一緒に登下校をするようになった。けどそれもたまたま電車が同じでたまたま駅が同じ、っていうだけ。つまり冷やかされる理由なんか、一つもない。
周りにばいばい、とか声をかけながら玄関に向かって歩く。室内にいても、最近は物凄く冷える。
「…寒いね」
「…まだ廊下」
「外出たら、死んじゃうかも」
「それは困る」
他愛ない、短い会話を繰り返す。有野くんは大抵無表情で喜怒哀楽を顔に出さない。けど、話をちゃんと聞いてくれるし、話を初めてくれることだってちゃんとある。時々笑ってくれるし。
玄関まで来て、一旦別れる。クラスが違うので下駄箱も違う。ほんの少し、寂しいとか、思ったり。
「…さむ」
「うん、さむい」
「死ぬ?」
「大丈夫」
完全防備だから、って、手袋をはめた両手を胸のあたりに持ってくる。なぜか笑われた。
じゃあ、行こうかってまた歩き出す。電車までは大分時間があるので、ゆっくりゆっくり歩く。
「今年、雪降るかな」
「去年、降ったっけね」
「降った降った。二人して鼻の先真っ赤にして歩いてた気ぃする。」
「ふふ、そうだっけ」
「そうだったよ」
有野くんは薄く笑って、空をみあげた。まだ雪は降ってないない、青くて高い空を。
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はるみや(プロフ) - イチゴヨーグルトさん» 私には応援することしか出来ませんが頑張ってください (2017年1月14日 16時) (レス) id: 7e5590634a (このIDを非表示/違反報告)
イチゴヨーグルト(プロフ) - はるみやさん» ありがとうございます。ちょっと今悩んでますが、頑張りますね! (2017年1月14日 11時) (レス) id: 5e434de2db (このIDを非表示/違反報告)
はるみや(プロフ) - 更新楽しみにしてます(〃ω〃) (2017年1月14日 10時) (レス) id: 7e5590634a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチゴヨーグルト | 作成日時:2016年11月29日 22時