220 ページ23
滞りなく進む準備。問題なく行われるアップ。
今日は監督に「マネに専念する」と宣言をしたから、控えのやつらもしっかりと部活に参加できる。どこと当たっても、誰が出ても勝てるように、3年連中は気合が入っていた。
ルーズリーフに書き殴る文字はいつにも増して雑になり、目で拾ったものを片っ端から出力した。
タイマーが0になるのと同時に、ホイッスルを鳴らす。
「休憩、15分な！岩泉と及川、あと松川はこっち来て」
「俺は？」
「花は練習しててもいいよ」
「じゃあそっち行く」
四人ともスクイズ片手に俺の方に来て、周りに散らばるルーズリーフを手に取る。
「ずいぶんエグい量だね」
「ちょっと頑張ってポジション別に書いてみた」
「頑張りすぎだろ」
「もっと褒めていいよ」
軽口を叩きながらもしっかりと目を通している。それぞれなんとなくゲームの風景を思い出しているのか、眉間に皺を寄せたり、時折右上に視線を向けたりした。
「ミドルとスパイカーはレシーブ強化か」
「3年は大丈夫だと思うけど、やっぱ狙われたら面倒だからな」
「速攻に入れなくなるもんね」
四人ともそれぞれルーズリーフを手にしたまま、ポジションごとに部員を集めようと立ち上がる。
「セッターの子、ちょっとこっち来てー」
「ミドルはこっち来ーい」
呼びかけに反応して、それぞれ休憩や自主練をしていたやつらが集まる。みんな真剣に話を聞いていた。
「いい雰囲気だ」
研ぎ澄まされた肌をヒリつかせる空気が心地よい。
ふと思い出して、時計を見る。丁度タオルが洗い終わる時間だった。バインダーを置いて、干しに行こうと体育館を後にした。
洗濯物を干し終わり、体育館へ戻るとゲームのチーム分けをするところだった。
「あ、Aちゃん！俺ら抜きでチーム作るなら、どういうメンツにする？」
及川の問いに少し考える。
及川の言う「俺ら」というのはレギュラーの3年のことだろう。
「セッター矢巾、WSは国見と湯田と志戸、MBは金田一と沢内、リベロ渡、かな」
「やっぱそうなるかぁ」
「レギュラーと3年抜きなら？」
「また難しいこと言うな」
床に置いたままのルーズリーフをまとめて手に取り、バインダーに数パターン書き出す。
「何重視かによるけど、とりあえずーー」
攻撃重視、守備重視、と分けて書いたものを見て及川はニコニコして頷いた。
「いいね！じゃあ、今日はこれでゲームやりつつ、インハイのメンバーの目星つけよっか！」
部員の顔が強張る。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シャバ僧(プロフ) - しおさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！及川も花巻も友達思いだと思うので、嫌がってる堂島を連れていった先輩に嫌悪感示しそうだなと、この展開にさせていただきまました！なかなか松川夢ってないので、自分のためにも頑張ります！笑ありがとうございます！ (2022年8月11日 8時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
しお(プロフ) - 展開が！！最高すぎます！！松川だけじゃなく花巻達まで不快に思ってる感じ本当に最高です...たくさん更新してくださるのでとても助かってます、これからも頑張ってください！^_^ (2022年8月11日 3時) (レス) @page5 id: 8068b429a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年8月9日 11時
