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岩泉side
近い。
身長がほぼ同じだから仕方ないが、バインダーを見るために隣に立つとAの顔はすぐそこだった。視線を少し上げると目が合ったがすぐ逸らした。
「ずいぶん近いね」
花巻とアップをしていた松川が、俺とAが離れたタイミングでこちらに来た。
「いつもあんなもんだろ」
「そーだっけ」
言いながら隣に立ち、まじまじと俺を見る。
「なんだ」
「いーや」
何でもないよ、と言いながら俺から視線を逸らしてAを見ている。
「安心しろ」
「なにが?」
松川は視線をAから外し再び俺を見る。それでも気になるのか横目でAを見ている。
「俺はお前らの邪魔はしねぇよ」
「……そ」
言葉の意味を理解したのか少し驚いたあと、松川は表情を柔らかくした。そのまま少し考え込み人差し指で頬を掻いた。
「気が付いてたのか」
「まぁな。明らかにお前とAの顔が違った。」
「マジか……」
気を付けねぇと、小声で呟いたのが聞こえたがもう2年の間でも少し話題になっている。
「それにしても、松川は意外と独占欲が強いんだな」
「まぁ、やっとだからね」
言ってる意味が分からず松川を見ると自嘲気味に笑っていた。
「前から付き合ってたんじゃないのか?」
「全然。昨日から」
「……は?」
ずっと前からそうだと思っていた俺は拍子抜けした。
昨日から?じゃあ、あのAの顔はなんだったんだ?松川とのあの距離感は?理解しようと思考を巡らせるが混乱する。
「遠慮して損した」
「遠慮?……え?」
「少しでも隙見せたら覚悟しろよ」
混乱した松川を放置してその場を離れる。
Aが出したビブスの箱の前にいる俺の後ろに誰かが立った。
「岩泉ー?ダイジョブか?」
「何がだ」
いつもはふざけてばかりの花巻がいた。見た感じだと気が付いているようだ。
「もしかしてー、ってくらいだったんだけど、岩泉もAのこと」
「それ以上言うな」
関係ない、そう言い切ると花巻は溜息を吐いた。
「もー少し優しい言い方あんだろ」
「悪い」
「まぁいいケド」
肩を竦めながら言う花巻に今度シュークリームを買おうと考える。
「お前はずっと知ってたのか、あの二人のこと」
「んー、まぁ。基本Aの話ばっか聞いてたけど。」
「そうか」
「なんか、すまん」
花巻は何かしらを理解したのか萎れている。
「そのままの状態で部活はやるなよ。立て直せ」
「おう」
近くまで来ていたAに気付かれないよう切り替えた。
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時