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朝練は滞りなく行われ、片付けをしている時だった。
昨日使ったビブスを干し終えて、体育館に丁度戻ったところでそれは起こった。
ポールを落とす音が体育館に響く。

「すみません!」

「ダイジョーブ、ダイジョーブ」

いつもの胡散臭さとは違う色の浮かんだ笑顔に血の気が引く。

「及川!何があった?どこが痛む?」

血相を変えて及川に駆け寄る俺を見て他の部員が騒つく。
及川は「なんでもないよー!もう大袈裟!」なんて言っているが屈んだまま立ち上がろうとしない。

「とりあえず片付け進めていいよ。驚かせてごめん」

「あ、いや……」

「ぶつかった拍子に足挫いたんだろ」

岩泉の言葉で俺よりガタイのいい及川を担ぐ。

「ちょっとAちゃん?!」

「騒ぐな。松川ー!ベンチ出して!」

「あいよ」

松川が急いで出したベンチに及川を少し膝を曲げた状態で座らせる。

「岩泉、どっち足だった?」

「見た感じ左だな」

「痛かったら言えよ」

左脚を動かないように脇に挟んだ状態で足首を見る。腫れはなく変色も見られない。

「折れてはないな。松川、救急箱から足首用のサポーター取って。矢巾ー!冷蔵庫から保冷剤取ってきて!」

「はい!」

松川から手渡されたサポーターを及川の足首にしっかりと巻く。

「とりあえず無闇に動かすなよ。あと我慢すんな。お前は大事な選手なんだから。」

「ごめん」

「わかりゃーいいよ」

矢巾が保冷剤と保冷用のバッグを持って走ってきた。

「どうぞ!」

「保冷剤持ち歩かせる気満々じゃん。さんきゅ」

保冷バッグの中には数個の保冷剤が入っている。手渡されたそれをサポーターと足首の間に差し込む。

「つっめた!!」

「我慢しろ。んで、ぬるまったら矢巾が用意したのと取り替えろよ」

「はーい」

及川が立ち上がるのに負担がかからないように補助する。同じクラスの岩泉にあとは頼んだ。

「よく気付いたな」

「まぁマネも続けてりゃちょっとしたことには気付くよ。」

「Aは元々目ぇいいしな」

松川の言葉に笑いながら部室へ戻り着替える。

「あ、言い忘れたけど及川は放課後病院行けよ?監督には伝えとくから」

「はーい」

不貞腐れてるのか生返事しかしない。呆れて及川を横目に見ると悔しそうな顔をしていた。

「再来週には間に合うだろ。それまでのちょっとした休みと思って割り切れって」

「そうだね」

着替え終えると「岩ちゃーん肩貸してー」とふざけて言う。保健室から松葉杖を借りようと決めた。

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設定タグ:青葉城西 , 男主 , 松川一静
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時

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