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俺が上げたボールを松川は更に強打で返してくる。今度はすぐに立ち上がり、姿勢を整えて再度低い位置からオーバーで返す。
「お前らガチすぎ」
「サーセン」
松川と二人で笑って謝り、普通の対人パスに戻る。
「んじゃ次はサーブな。レシーブと二手に分かれてやってくれ。」
ジャンプサーブ禁止で、と付け加えられ、及川があからさまにテンションを下げる。
「俺レシーブやるんで大丈夫ですよ」
「そ?んじゃ好きなように打てー」
「Aちゃんが俺のサーブ取るの?」
「安心しろ及川、Aはリベロもやってたから」
な、と俺の肩を叩きながら松川が言う。及川はそれでも納得できていないようで「ま、いいけどー」と言いながら始めやすい位置に立った。
Aパスは意識せず、ただ上げることを考える。いつも見ているサーブだ。速さには慣れている。
腕の力を抜くのに軽く振る。全身の余計な力をリセットする。一度天井を見上げ目を瞑り前を見据えて腰を落とす。
「サッ来ォーーーイ」
レシーバーになった松川と二人でふざけて声を出す。それに呼応する様に及川のテンションは上がり、ルーティーンからサーブトスを上げる。
(サーブトスいいな。でもちょっと加減してきそう。俺狙いだから少し下がるか)
ミートの瞬間に合わせて半歩下がり、ボールをしっかり見る。真っ直ぐ俺目掛けて飛んできたボールをアンダーで勢いを殺し高く上げた。
「おぉ!」
「堂島ってマネだろ?」
「案外誰でも取れんじゃね」
「んな訳ないから!!」
誰さ誰でも取れるって言ったヤツ!!と喚きながら及川はキレている。俺が上げたのも含め腹立たしいのだろう。
「ナイッサー及川。サーブトスもよかったね。」
「だから大丈夫って言ったろ。うちのAをみくびるから悪いんだよ」
松川が煽るように言うと及川は顔を真っ赤にさせた。
その後フローター、ジャンフロ、アンダーとサーブの手本を見せ、試合形式に入った。
「及川・岩泉と松川・堂島固定でそれぞれローテ回せばいいんじゃね?」
「体育教師なのに頭いいな」
「バカにすんなよ?」
ケラケラ笑いながら教師をイジる。そうこうしてると他の生徒のチーム分けも済み、大雑把な作戦と注意点を伝える。
「及川のサーブは俺狙いになるから、基本は無視してていいよ。俺がうまく拾えなかったらそれを上げる感じで。」
「それだとAがセットできなくない?」
「それは二の次」
真面目に返すと松川が少し不機嫌になった。
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シャバ僧(プロフ) - 優愛さん» ご要望ありがとうございます!負けず嫌いな男主なので、まだ未定ですが、一応別で男主受け松川夢ございます……よろしければ、どうぞ(宣伝) (2022年12月8日 23時) (レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
優愛(プロフ) - 主人公は受けがいい!! (2022年12月8日 21時) (レス) @page35 id: 5e22586db0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シャバ僧 | 作成日時:2022年6月14日 0時