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岩泉side
真っ赤な目のまま飯を食ってるAは、駄々を捏ねて大泣きした後の子どもみたいだった。
女将さんもそんなAを見て小さく笑い、Aのために、と別の料理を用意していた。
「ありがとうございます」
「よかったらみんなも食べてね」
「いただきまーす！」
「お前さっきめちゃくちゃ食ってただろ」
Aより早く及川が料理を取ろうとした。流石にAより先はダメだろ、と咎めると及川はムッとした顔になる。
「岩ちゃんだって、さっきすーんごい食べてたのにもう箸持ってんじゃん」
「腹減ってんだから仕方ねぇだろ」
「まっつんもまだお腹減ってるよねー？」
「巻き込んでくんな」
言いながら、松川は自分のとAので2枚皿を取り、料理を取り分けている。
「お前、面倒見いいんだな」
「ん？まぁね。Aに取り分けんのは俺の仕事」
「……なんか腹立つな」
「岩ちゃん、今怒んないでね」
せっかく美味しいもの食べてるんだから、と俺をブスッとした顔で見て及川が言う。
「その顔腹立つ」
「今日そればっか」
「岩泉はどんだけA好きなのよ」
花巻がケラケラと笑って馬鹿にする。矢巾と渡がそれを聞いて焦っていた。
「どんだけでもいいだろ。別に今すぐ奪る訳じゃねぇんだから」
「いや、いつになっても渡さないよ？」
「今のところ一静から離れる予定ねぇな」
はふはふと飯を食いながら、俺を少し上目に見てAが言う。
「わぁってるよ。」
「惚れた弱みだねぇ」
こればかりは、及川の言葉に頷くしかなかった。
鱈腹食ったのか、Aはテーブルに頬杖を突いて1・2年を見ている。その顔は少し固い。
「A、どうした？」
松川もAを見ていたからか、心配そうに声を掛ける。いつも穏やかな松川の声が、少しだけAをあやすような、甘やかすような色を纏っていた。
「春高、まだ始まらなくていいな、って」
「まだ始まんねぇから安心しろ」
「言わんとしてるとこはわかったけどね」
「確かに、もう少し遠くてもいいよな。」
「一次は8月だもんな」
まだ6月。されど6月。一次が免除されていると云えど、春高まであまり余裕はない。Aはそれを、もう目先だと悟ったらしい。
「でもさ、」
不貞腐れた顔の及川が、女将さんの用意したデザートを食いながら口を開く。
「春高、遠くなっちゃったら、俺ら出れないよ」
「あー、」
「確かに」
「じゃあ、変更なしだな」
五人でデザートを食いながら笑い合った。
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シャバ僧(プロフ) - ひなさん» 嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張って完結まで書き切りますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2022年9月9日 17時) (
レス) id: 97accd6b89 (このIDを非表示/違反報告)
ひな - コメント失礼します。この作品すごく好きです！画像もかっこいいですね。応援してます！ (2022年9月9日 0時) (レス) id: c76bd02e2f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シャバ僧 | 作成日時：2022年9月2日 21時
