牡丹46 ページ46
.
「A様ー!A様、どちらにいらっしゃるのですかー!」
私の呼ぶ声が屋敷のあちらこちらから上がる
大きな庭の小さな生垣
この生垣には赤と白のでっかいお花が咲いていて、私が枝を折りながら中に入って身を隠すとボトボトと花が地面に落ちた
紅白でとても縁起が良い組み合わせだ
きっといいことが起こるに違いない
うるさいお手伝いさんに見つからないように、息を潜めて私は隠れ続けた
だって嫌なんだもん
重たい木の棒をひたすら振ったり、岩場で走らされたり
手には豆ができるし、膝はカサブタだらけだ
「A様ー、出てきてくださいませー!」
私がすぐ近くに隠れているとも知らず、目の前の廊下を通過していくお手伝いさん
ほーんと、ちょろいんだから
そして右の方からゾロゾロとたくさんの人の足が見えた
確実にこちらに近づいてきて、そして狙いを定めたように私の前でそれは止まった
「A、出てきなさい」
重たい重たい声。
「はい」
私は手に持っていた大きなお花を持ったまま、生垣からで出た
顔を上にずんずん上げていくと、強面のお父様がを見下ろしていた
「お前に課題をやろう。これが出来たら、1人前と認めてやる」
お父様の認めてやる。という言葉に心のが踊って、私の口角が無意識に上がっていく
全力で私は返事をして、ありがとうございます。と片膝を付いた
1人前になったら、毎日の特訓もなくなるしね!
「お前にこれをやろう」
お父様が私に示したのは、私の腕ほどの長さの短剣
私は大きな花をそのまま地面に落とし、それを受け取った
最初で最後のお父様からの贈り物。
144人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴凛(プロフ) - さ凄く好きです!! なんなんですか、文才ありすぎでしょう。 更新頑張ってください! 楽しみに待っています! (2021年1月4日 0時) (レス) id: 7339462afc (このIDを非表示/違反報告)
もろこ - もう好きという感想しか出てこなくなってしまいました好きです............更新めちゃんこ楽しみに待ってます!!!!! (2021年1月2日 3時) (レス) id: 132f83efa1 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - パールさん» いえいえ、!間違いは誰にでもあるのでだいじょぶですよ〜!(о´∀`о) (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 優鈴さん» ありがとうございます(泣)。早急に直させていただきました! (2020年12月31日 1時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
優鈴(プロフ) - 順番がぁ……!20、23、22になっちゃってますよ、! (2020年12月31日 1時) (レス) id: 947ace3b30 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ