人間買収【浦.島.坂.田.船.】

買収41 ページ43

さ「、、、。」

今日も賢者は森を彷徨っていた。

彷徨っていれば、親に会えるかもしれないから。

でも、、、薄々、賢者は気づいていた。

自分がただの迷子ではないことを。

さ「、、、戻ろ」

踵を返した賢者は屋敷に戻って唖然とした。

さ「、、、え、？」

屋敷が、燃えているのだ。

血肉の匂いや、泣き叫ぶ売り物の人間の声。

悪魔たちは？まやは？

賢者は混乱していた。

どうして屋敷が燃えている?

中身のない頭は何度思考を巡らせても答えは出てこない。

とりあえず賢者は屋敷の火を呪文を唱えて消し、みんなを探した。

雑草で地面が見えなくなっている屋敷裏に来てみれば肉を蝕む音が聞こえた。

嗅いだことのある、匂い、、、。

昔から知っている大好きな、匂い。

さ「、、、まや、？」

そこにはぽっかりと心臓に穴のあいたまやの姿があった。

さ「まや、、、？まや、、、！！」

転けそうになりながらも走って賢者はまやのもとへ駆けつけた。

瞳は閉じられていて呼吸も浅い。

死ぬ、？

まやが、死ぬ？

まやはまだ17歳だ。

人間は90まで生きるって聞いた。

死ぬのはまだ早いよ、まや。

ねぇ、とまやを何度も賢者は揺すったが起きる様子はなかった。

どうして？どうして？

どうしてまやは倒れているの？

悪魔たちはどこにいるの？

ねぇ、まや。









どうして笑っているの？

買収42→←買収40

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す