苦いチョコレート。 ページ32
どんどんと選手たちがグラウンドを駆け抜ける中、どうか変なお題を引きませんようにと祈るばかりの僕。
｢なんや大先生、ずっと手組んで何しとんの｣
｢…神に祈っとるんや。変なお題引きませんようにって。｣
｢変なお題の方がおもろいやん｣
｢そうやけど、僕別に走り回りたいわけちゃうもん｣
｢お前も丸なったなぁ…。ちょっと前までの尖りどこいったん｣
｢…それには触れんといてやシッマ｣
｢まぁ、ええわ。ほら、俺らの番やで｣
そう言われ、手を差し出される。その手を掴み僕たちはスタートラインに立つ。
乾いた音がなった瞬間に駆け出す。
お題カードは早い者勝ち！はよ取らな！
｢っ、よし！取った！何なに…。は？｣
は？いやいやいや、何なんこのお題！
周りの選手も動きが止まっている。シッマも。
｢…は？嘘やろ？｣｢まじ？｣みたいな声しか聞こえへん。自分のお題ももちろんのこと、他の奴らのお題も相当なやつやってんな…。
でも、ここで勝たなあかん。深呼吸をしてグラウンドを見渡す。
｢…おった。｣
見つけたお題に書かれた“モノ”目掛けて足を動かす。
他の選手たちも僕の姿を見たためにそこらへと駆け出した。それでも僕が絶対一位取るんや。
目当てのモノの前に立ち、手を差し出す。
｢はぁ…っ、はぁ。一緒に、来てくれる？｣
普段から運動なんてしていない僕はこの短距離で疲れている。目の前にいる彼女は目を見開いてこちらをただ見つめていたが、悠長な時間はない。
｢っ…おねがい！｣
｢わ、かった。｣
応援席から出てきてくれる彼女の手を引いて、ゴールに向かう。
他の選手たちはまだ目当てのモノを探して叫び回っている。
｢っはぁ…だい、せんせぇ！｣
後ろからコネシマの声が聞こえるけれど、決して振り向かない。お前にだけは負けられへん。
｢…ぅぐっ、俺が一位や！｣
普段使っていない一人称が飛び出るも、白いテープを切ったのは僕だった。
｢はぁ…っはぁ…一位、なった…｣
｢はぁ…くそー、負けた…！｣
君にかっこいいところ、見せたかったんやけどなぁ。まさか、お題がこんなんやと思ってへんかった。
｢あのー、お題の確認大丈夫ですかね。｣
｢あっ、はい…。｣
｢カード失礼しますね…。あー、なるほど。｣
進行役の男子生徒にカードを渡し、お題を見たあと察したのかマイクに向かって声を出した。
｢一位の彼のお題は、『守りたい人』でした！！｣
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ちぇる(プロフ) - 白ごまさん» コメントありがとうございます！ (2021年4月19日 19時) (
レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - 甘酸っぱい両片思いでもうずっとキュンキュンしてました。完結おめでとうございます！ (2021年4月18日 4時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - �世気�» コメントありがとうございます！ (2021年3月12日 20時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
�� - キュンキュンする（真顔） (2021年3月12日 18時) (レス) id: 86f4624805 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！ (2020年12月1日 19時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
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