苦いチョコレート。 ページ27
人をかき分けて、彼女のクラスへ向かう。
｢…えげつい人や｣
彼女が言ったメイドカフェは、それはもう僕たちの店とは比べものにならないくらいには列ができていて。中から聞こえてくる声はその大変さを想像できるほどに大きな声だった。声通らんなるもんな…。
大人しく列並ぼ…。
時間にはギリギリになるし、Aちゃんのクラスのメイドカフェは繁盛してて忙しそうやし文化祭は楽しいけど戦争みたいやな…。並んどる男たちの目が爛々と燃えている。良からぬこと考えてんな？
少しずつ列は進み、漸く僕の番になった頃。
『へぇ〜君、サトウさんって言うんやな』
見知った名前と、何やら含みを持った声。
何となく僕自身の勘が告げている。これは危ないと。
｢あの、まだですかね｣
｢すみません、ちょっと揉めてるみたいで…｣
彼女のクラスメイトに話しかけるも、入ることをやんわり拒否される。いや、Aちゃんやろ絶対。危険な目に遭わされとるんちゃうんか。
｢すんませんね、ちょっと入りますよ〜｣
｢あ、待って！｣
制止を振り切り、教室内に入る。すると、案の定他校の生徒である男に絡まれているAちゃんがいた。
｢…は？｣
メイド服は着ないと言っていたAちゃんは、何故かメイド服を着ているし。その彼女の腕を掴んでニヤニヤと気持ちの悪い顔をしている男。
｢あの、やめてください｣
｢なんで？もうすぐ交代なんやろ？終わったら一緒に回ってや｣
｢まあまあ、お兄さん。とりあえず手離してもらえます？｣
｢…あ？｣
可愛い彼女が顔を歪めてるのに何もせんやつおらんやろ。はよ離せや。
｢あ、うつくん…｣
｢いける？僕の彼女なんで諦めてもらえます？｣
｢お前が彼氏なん？貧弱そうやなぁ…｣
｢お好きにどうぞ〜。ただ、その来客証には個人情報載ってるんでいつでも学校に報告できますよ？大丈夫ですか？｣
｢…チッ。｣
舌打ちだけしてAちゃんの手を離した男は、分が悪そうに教室を出ていった。
良かった、何とか穏便に終わらせれた。
｢あ、Aちゃん腕大丈夫？痛くない？｣
｢う、うん…。うつくんありがとう｣
そういった会話をしていると、疎らに拍手をされていることに気づく。
｢あ、すみません皆さん。ごゆっくりなさってください〜。Aちゃん交代やんな？行こか｣
｢あ、うん。交代やから、これよろしくね｣
彼女の手を引いて教室を後にした。
…めっちゃ恥ずいわ。
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ちぇる(プロフ) - 白ごまさん» コメントありがとうございます！ (2021年4月19日 19時) (
レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
白ごま(プロフ) - 甘酸っぱい両片思いでもうずっとキュンキュンしてました。完結おめでとうございます！ (2021年4月18日 4時) (レス) id: bba1a3ae28 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - �世気�» コメントありがとうございます！ (2021年3月12日 20時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
�� - キュンキュンする（真顔） (2021年3月12日 18時) (レス) id: 86f4624805 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇる(プロフ) - メロンパンさん» コメントありがとうございます！ (2020年12月1日 19時) (レス) id: 2136318bfb (このIDを非表示/違反報告)
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