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｢んで､どうやった?付き合えたん?｣
開幕早々に､さほど興味も無いくせに俺の前の席に座り下世話なことを聞いてくるのは同僚の大先生｡
朝食の時間ギリギリにやって来て危なかったーと言ってるから寝坊でもしたのだろう｡
喋ってる暇があるならさっさと食えと普段の俺なら言ってるだろうが､昨日の出来事を誰かに話したい俺は皿に乗っていた残りのおかずをかきこんで飲み込む｡
コップに入ってた水を一気に飲み干し､机にダンッと音が鳴る程強い力で叩きつけた｡
｢告白したったわ!｣
｢……で?付き合えたん?｣
｢顔真っ赤にしてな､俺が近づいたら目線泳がせてあたふたさせてホンマ可愛かった!手繋いだだけで体固くして緊張してんねんで?｣
｢振られたんやね｣
｢阿呆!これからやわ!｣
｢でも､直ぐに返事して貰えんかったんやろ?保留イコール付き合えるかもしれんは甘いわ｣
朝食の時間は残り僅かだというのに､小指を立てて上品を装って優雅に珈琲を飲む大先生にイラついて､大先生が座っている椅子を蹴る｡
珈琲が手にかかったのか､あちっ!と声を上げたが俺は知らんぷりと他所を向いて口笛を吹く｡
｢はぁ…でもAちゃんも災難やな｡ゾムに狙われるとか､そんなん肉食動物と草食動物の…なんて言うんやっけ､食物連鎖?みたいなもんやん｣
｢俺とAは生徒と先生やわ｡獣みたいな言い方すんなや｣
｢生徒と先生ねぇ…｣
｢だとしたら､優等生とは言えませんね｣
おはようございます｡と付け加えて俺の隣に座り､自然に会話に参加してきたのはエーミールだ｡
朝食は食べ終えたようで､手には何も持っていない｡
｢良い子のままやったら生徒のままやろ｡俺はAの生徒やなくて彼氏になりたいねん｣
｢なら何で遠回りせず､もっと攻めた方が良いんじゃないですか?何でまた先生と生徒なんて…｣
｢分かっとらんなぁエーミール!ゾムはこう見えて策士やねんで?Aちゃんと仲良くなる為に馬鹿なフリして近づいて､心の距離縮める為に先生って呼んでやなぁ…｣
｢成程｡接点を作ったんですね｡はぇ…流石やわゾムさん｣
感嘆するエーミールに何だかむず痒くなる｡
実際俺はAより座学の成績は下だったが､馬鹿なフリだと言った大先生には腹が立ったからまた椅子を蹴っておいた｡
｢で､Aちゃんは何人目の彼女なん?｣
｢ちょっ…それは失礼な質問ですよ｣
｢初恋やから1人目やわ｣
｢は?｣
手に持ってたスプーンを落とした大先生がアホ面で鼻で笑う｡
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