・ ページ17
･
『コネシマくん、放課後に少し話せない…？』
するとコネシマくんは私から声を掛けられると思っていなかったのか、私の顔を見るなり一瞬だけ目を見開き驚いた顔をするも「ええよ」と応えてくれた。
小学校のあの頃と同じように、私達は最後まで教室に残った。
『久し振りだね、コネシマくん』
「久し振りやな、A。全然声掛けてくれへんかったから、俺の事てっきり忘れてるんかと思った」
『忘れるわけないじゃん、毎日一緒に遊んでたのに。…急に引っ越したからびっくりしたよ』
「急に黙って引越ししてもてスマン…！家の事情があってやな…」と、コネシマくんが申し訳なさそうに謝る。
『でも、またこうしてまた会えて嬉しいよ。おかえり、コネシマくん』
kn「…ただいま、A！」
この日を境に、またコネシマくんと一緒に過ごす時間が少しずつ増えていった。
私の止まっていた時が動き出したようだ。
コネシマくんが所属するサッカー部が休みの日に、一緒に帰るのが恒例となっていた。
だけど私にはコネシマくんからどうしても距離を感じてしまう。
ある時、私は意を決して彼に訊いた。
『どうしてコネシマくんは、いつも寂しそうなの？』
「…聞いても面白くないで？」
『私はただ知りたいだけだよ。コネシマくんのことをもっと知りたいから』
「…そっか、じゃあAにだけ特別に教えたるわ」と言って、コネシマくんはぽつりぽつりと話し始めた。
コネシマくんのご両親は離婚をして、お母さんに引き取られ、お母さんの実家は遠くにあったのでそれが理由で引越したようだ。
「それから母親が再婚して、去年弟が産まれてから急に疎外感を感じて…。義父とは全く血が繋がってへんし、弟とは半分だけや。何かもう全部がどうでも良くなった。それから父方のばーちゃん家に逃げてきたんや」
「…まぁ、そんなとこやな。すまんな、面白くない話してもて。気分悪くしたやろ？大丈夫か？」と、コネシマくんが心配そうな顔をしながら私の顔を覗く。
『ううん、平気。むしろコネシマくんの話が聞けて嬉しかったよ、話してくれてありがとう。“私はコネシマくんを裏切ったりしない”からね』
私がそう言うと、コネシマくんは少し照れ臭そうに笑った。
それからというもの、私はコネシマくんを部活が休みの日には遊びと称したデートに誘ったりした。コネシマくんから誘ってくれる日もあった。
そして私はますますコネシマくんの事が好きになっていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「wrwrd」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
