【d!】恋とは一体、何たるや。【初恋企画】 (ページ14)

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おかえり、私の初恋泥棒-kn- ページ14

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私の初恋は、小学校高学年の頃だ。

初恋の相手は同じクラスの捏島孝行(こねしまたかゆき)くん。

金色の髪に空色の瞳が特徴的な男の子で、いつも放課後の下校時間ギリギリまで学校に残っているのが印象的な子だった。

私が忘れ物を取りに教室に入ると、捏島くん…改めコネシマくんは教室に残りながら既に宿題を済ませてしまったのか、図書室から借りた本を黙々と読んでいた。

『コネシマくん、家に帰らないの…？』

「んー、ギリギリまでここにおる。あんまり家に帰りたく無いねん」

『そっか。だったらしばらく学校の近くの公園で遊ぶ？』

「ええんか？」と言って、コネシマくんは本を読む手を止めた。

私は『うん！』と、大きく頷き返事をした。

その事が切っ掛けで私とコネシマくんは毎日のように一緒に遊んだ。

休み時間はそれぞれお互い仲の良い友達と過ごしていたけれど、学校が終わると二人揃って一緒に遊んでいた。

ある日は校庭にある遊具で遊んだり、二人でサッカーをしたり、またある日は学校の近くにある公園のブランコで二人乗りをしたり。

休みの日には、私の両親に遠くへ連れて行って貰ったり。
少しでもコネシマくんには、家の事を忘れて貰いたかった。

そんな日々を過ごしていくうちに、私たちの距離は徐々に縮まっていった。

そんなある日のこと、今日もいつも通りコネシマくんと一緒に二人で下校していた時だ。

ふいにコネシマくんが立ち止まった。

『どうしたの？』と、私が訊ねるとコネシマくんは少し俯きながら言ったのだ。

「俺の親達な、めちゃくちゃ仲悪いねん。いつも喧嘩ばっかりやし。せやから、今日は家に帰りたくないねん」

コネシマくんのその言葉を聞いて私は固まった。

だってコネシマくんの家の事情が、そんなことになっているなんて思いもしなかった。

私はコネシマくんに気の利いた言葉を掛けたかったのだけれど、上手く言葉が出て来なかった。

そんな時、コネシマくんは優しく私の頭を撫でてくれた。

「ごめんな。急にこんな話してしもて…Aを困らせるつもりじゃなかってん」と、コネシマくんは眉を下げながら笑った。

「でも俺にとってこの話は大切やねん。俺は両親のせいで居場所がない。せやけど、Aだけは“絶対に裏切ったりせん”よな…？」

声を震わせながらそう言うコネシマくんは、今にも泣き出しそうな顔で笑った。

そんなコネシマくんの表情を私は今でも覚えている。