後に愛する君に捧ぐ-gr- ページ1
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心臓の脈動、呼応。
身体中に熱の篭もる感覚。
湧き上がる歓喜、愛しさ。
そんな感覚に初めてなったのは、歴史の教科書のある人物を見た時からだった。
彼女の名はA。
女性ながらに戦場を駆け抜けた勇士の一人である。
大きな偉業を成し遂げた訳では無いが、俺は教科書の隅にあった彼女の肖像に目が離せなかった。
とうの昔に死んだ人間に“初恋”をしたのである。
学年が上がった後、教科書を切り抜いたり、彼女の事だけを調べ上げたスクラップブックを作ったりもした。
歴史上の人物である為、周りはただのマニアだと思って何も言ってこない。
彼女に向ける愛に対する障害がない為、俺の恋はどんどん膨らんでいった。
そして、俺は生涯を一度終えたのだ。
『初めまして、グルッペン君。私はAと申します、よろしくお願いします』
…であれば、これは運命なのだろう。
俺の第二の生は、愛するAの幼なじみだった。
微笑んで手を差し出す、肖像よりも幼い彼女。
肖像だけでは見れなかった表情に、心臓が熱く、そして鼓動が早まっていく。
「...あぁ、よろしく頼む」
『はい！』
手を握っただけなのに、俺は心に安寧を覚えた。
過去に転生するとは、前世では考えもよらなかったこと。
…でも、これなら。
「...なぁ、A」
『ん？どうしました？』
「...俺と一緒に、国を作らないか？」
俺の言葉に、Aはキョトンとした後少し考え口を開く。
『今の国に不満でもあるんですか？』
「いや、無い...だから、つまらないんだ。けど、俺一人では数には勝てん...一緒に、やってくれないか？」
俺は彼女の手を握り、目で訴える。
何千、何万回も彼女について調べたのだ。彼女がこういう願いを無下にできないのを知っている。
『...分かりました。私に出来ることならお手伝いします！』
「そうか！すまん、助かる」
『いえいえ！』
望み通りの回答に、俺は歓喜する。
文章の中でしか見れなかった彼女の勇姿を、今から、リアルタイムで拝めるのだ。
「...あぁ、最高やな」
『そうですか...？では、頑張りましょうね！総統！』
気張るAを見ながら俺は、この叶うかもしれぬ初恋に想いを馳せた。
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