【d!】最低な祝福、キスを落として。 (ページ48)

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話って一体何なんだろうか。何度考えてみても、私と彼が話すことなんて浮かばない。
ぼんやりと考えながらお皿を洗っていれば、泡によって滑ったお皿が___。

tn｢っぶな。大丈夫か？｣
『は、はい…。すみません』

いつの間にか台所に来ていたらしいトントンさんが寸前のところでお皿をキャッチしてくれた。割らずに済んだし、怪我もせずに済んだ。

tn｢気いつけなあかんで。｣
『ありがとうございます』
tn｢俺も手伝うわ。流してったらええか？｣
『はい、お願いします』

手伝うと申し出てくれたため、遠慮せずお願いする。これで私がお皿を洗い終わるまで待ってるなんて言われれば、それこそ申し訳ない気持ちでいっぱいになるし。有難い申し出ではあった。

tn｢…いつも一人でやっとるん？｣
『まぁ、はい。そうですね。それがなにか？』
tn｢ほとんどAさんがやってくれるから、おかんも助かっとる。ありがとうな｣
『お礼を言われるようなことしてないですよ。』

彼は、本当にいつでも私のことを気遣って申し訳なさそうにする。若頭がそんなにペコペコしていていいものなのだろうか。
左隣にいる彼を見上げれば、どこか真剣な表情をしていて。そういえば話があると言っていたことを思い出す。

tn｢…それでやねんけど。後で、親父んとこ一緒に来てほしいねん。｣
『組長さんのところに、ですか？』
tn｢親父から話あるらしくてな。ええか？｣
『はい。』

彼自身からの話がある訳ではなく、組長さんからの伝言だったらしい。それでも、何の話があるのかさっぱり理解出来ず少しだけ怖い。

お皿も、洗い終わってしまった。

tn｢とりあえず終わったし、来てくれるか？｣
『はい…。』

何事もなく終わりますように。