【d!】最低な祝福、キスを落として。 (ページ47)

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平穏ページ47

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彼らが朝食を食べたあと、すぐにまた部屋に戻っていくのを見届けて片していれば先程話題に出た彼が居間に入ってきた。

tn｢遅れてしもたな…。あいつらもう食べたんか｣
『…あ、はい。みなさん食べてすぐ部屋に戻られました。トントンさんの分はこれです』
tn｢ありがとうな。いただきます｣

まだちょっと気まずいけど、先日の一件があったおかげかそこまで不安には思わない。彼も至って普通に接してくれているし。
私も、子供みたいに気にしていられない。あくまでも私は、この家でお世話になっている身だ。大人しくしていなきゃ。

tn｢うん、美味いわ。いつもありがとうな。助かっとる。おかんも、俺らも。｣
『いえ、これが私の仕事なので…。』

トントンさんと二人きりなんて、ないものだからどう返せばいいのか分からなくなる。前みたいな会話は出来ているのだろうか。些か不安ではある。

tn｢…仕事やのうて、家族の味というか。なんて言うたらいいんやろ。俺らのために作ってくれてるから、美味いって言うか…。｣
『は、はぁ…。喜んでもらえて何よりです。残りのお皿下げちゃいますね。』

いたたまれない。何なんだろう。急に褒められているし、こういうのは慣れなくて恥ずかしい。
今すぐこの部屋から出ていく理由なんて、食器を片付ける以外に浮かばない。大皿を何枚か重ねて持ち上げようとすれば彼の腕が伸びる。

tn｢なぁ、もうちょっと話せん？二人で｣
『ふ、二人で…』
tn｢いろいろ、言わなあかんことあるんよ。時間ある？｣
『はい、まぁ』
tn｢じゃあはよ食べるから片してきい。俺が食うたやつは持ってくわ。｣

あっさり話された手首。まだ少しだけ温もりが残ってる。いやいや、温もりって何。変な考えを消し去ってお皿を運ぶ。
これじゃあまるで、私がトントンさんに何か想いがあるみたいじゃないか。そんなこと、断じてない。

ないに決まってる。