珍しい ページ37
***
あれから本当に忙しくなったのか、毎日顔を見ない人が出てきた。でも、深夜には戻ってきているのか用意しておいたご飯は朝起きるとなくなっているし。それだけで安心出来た。特に大きな怪我もなく帰って来れている証拠だ。
ci｢A〜〜！俺一週間くらい帰って来れんん｣
『はぁ、そうですか。頑張ってくださいね』
ci｢もうちょっと優しくしてや〜〜なあ〜〜｣
『明日までにレポートまとめないといけないので離れてもらえますか？』
ci｢Aが冷たい！誰や余計なこと言うたん！｣
耳元で叫ばないでほしい。切実にレポートを仕上げないといけないから、一人にしてほしい。
グループワークで組んだ人が風邪をひいたらしく私ともう一人でどうにかしなくてはならない。ここ数日寝る間も惜しんで連絡を取りつつ、素材なども探しているのだが中々上手く出来ない。
tn｢こんなとこおったんか。おら、行くぞチーノ｣
ci｢トントン?!いや、もうちょい待って！なぁ、痛い痛い！引っ張らんでや！A〜！｣
tn｢Aさんごめんなぁ。こいつ連れていくわ｣
『あ、はい。チーノさん、頑張ってください』
廊下へと引きずられていくチーノさんを見送り、再びパソコンに目を移す。もう少しで終わるはずだ。これだけ終わらせたら寝よう。もう遅いし、遅い…。
『あれ、今何時？』
zm｢十一時やで｣
『わっ、びっくりした…。ゾムさん』
zm｢ひひ、き、気づいてへんかったん？｣
『いつも静かなので全然…。あれ、でも珍しいですね。今日は早い…』
十一時にゾムさんを見かけることなんてまずない。たまに予習などをしていて夜遅く起きていた時に会うことが多いからか、この時間に会うのは初めてなのかもしれない。
zm｢それがなぁ、せんでいい言うてんけど。トントンが聞かんくて。シッマと交代してんよ｣
『交代…。最近みなさん忙しそうですもんね』
zm｢まぁ。詳しくは言えんけど、無事やし安心してくれ。｣
『それに関しては確認出来てるので。』
彼らが無事帰ってくるのは、分かってる。組の人たちも、彼らの指示でどこかに行ってるみたいだし。未だに一般人である私に口を挟む権利も、余裕もないから知らないままでいいんだろう。
大きな怪我なく、帰ってきてくれるのならそれでいい。私は何も出来ないから、待つしかないんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
