猫みたい ページ22
***
三人で洗う、流す、拭くを分担してスムーズにお皿を片づけた。ロボロさんは早々に台所から出ていったが、ショッピさんは残るようで微妙な空気が流れる。
『えっと、ショッピさんは今日お休みですか？』
shp｢…運転が仕事やな。｣
『そうなんですか、はは…』
沈黙を作ってはいけないと思って、会話を振っても中々続かない。私自身話すのはそこまで得意じゃないし、参ったな…。でも、何でわざわざ残ったんだろう。
『…あの、私何かしちゃいましたか？』
shp｢別に？暇やからおるだけ｣
『お昼作るだけなので暇つぶしにならないかもしれないですけど…。』
shp｢なぁ。｣
話を遮られた。何だろう。何？地雷でも踏んだ？やばい、相手はヤクザだよ。何されるか分かんないんだから。機嫌、とらなきゃ…。
shp｢そろそろ、敬語やめへん？｣
『っは、はい。はい？あ、え？』
shp｢歳近いって言うたやん。もうここに来てから大分なるし、あんま畏まらんといて｣
敬語を、やめる。ヤクザ相手に？何を言ってるんだのこの人。明らかな主従関係があるのに、そんな事出来るはずがない。
この状況をどう打開すべきか、もう少し時間を有する。あと五十時間くらい欲しい。
shp｢…あかん？｣
『い、いえ！滅相もございません…はい…』
shp｢まぁ、最初は慣れへんと思うけど。俺もなるべく敬語使わんようにするし｣
『はい、あー…うん。』
shp｢歳近い分まだ敬語外しやすいやろ｣
彼は歳が近いと言うけれど、私は皆さんの誕生日だとか出身地だとか個人情報は何も知らないからなぁ。自分の年齢に近いと言われても、確実に年上である訳だし。
『ま、まぁ…。』
shp｢Aは今年で二十歳やろ？｣
『…そ、うだね。二十歳になるよ』
shp｢もう五年も経ったんか…成人してから｣
なるほど。ショッピさんは二十五歳…、二十五歳？思ったよりも年上だった。あー、でも。従兄弟が十個くらい上だったしなぁ。それでも比較的仲良く出来てたんだし、大丈夫なのかな。
shp｢そんなんはええんよ。それだけ言いたかったんで。じゃあまた行く時声かけてな｣
『あー…うん。わかった』
気まぐれというか、なんと言うか。距離感の分からない人だな、ショッピさん。
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