3.希望の光 ページ5
***
ゾムは私たち二人の腕を引いて談話室に人を集めた。眠り始めていた人も数人いたようで、目を擦りながらソファに体を沈めている。
gr｢それで、助かるかもしれないってのは何だ｣
zm｢これ、これ見て！｣
彼が取り出したのは一枚のチラシ。
手渡されたトントンが内容を読み上げる。
tn｢小型宇宙船、販売予定…？｣
ut｢この星から逃げれるってことやんな？｣
zm｢お、表の方歩いてたら配っててん、やから貰ってきた！｣
em｢…でも、少しだけ怪しくありませんか？｣
ゾムの手元にあるチラシを見せてもらうと、派手な色で大きく書かれたその文字は胡散臭く見える。
正規のものなのか分からない。
sha｢んー、でも怪しいとか言うてられんくないか？｣
rbr｢シャオロンの言う通りや。俺らには時間がない、縋れるもんには縋っとかな｣
kn｢小型宇宙船なぁ…。俺ら金ないけどどうするん｣
『何処か私たち子どもでも働けるところないかな』
シャオロンの言う意見にも納得は出来た。
私たちが生き残るには方法を選んでいる暇さえない。出来ることには何でもする必要がある。
ut｢工場とか…？宇宙船に積む用の食料を箱に詰める仕事ならあるっぽいけど｣
ci｢ちょっとでも生き残れる希望があるなら、やってみてもいいと思います…！｣
shp｢俺らみたいな孤児が生きるには、これしか残ってないんとちゃいます？｣
gr｢四の五の言ってられんな。すぐにでも応募しよう。連絡は任せたぞトントン｣
面倒ごとはトントンに頼みがちなグルッペン。頼まれた本人は眉を顰めるけれど、溜息を吐いて先に談話室から出ていった。
em｢…ほんまに、大丈夫なんですかね｣
『エミくんの不安も分かるけど、今はこれに賭けるしかないよ。』
em｢そう、ですね。すみません。頭冷やしてきます。おやすみなさい｣
未だ煮え切らないままらしいエミくんが談話室を出ていき、チラシを持ってきたゾムは悲しそうに俯く。
gr｢そんなに気にするな。あいつも何か考えがあったんだ。お前の考えもきっと分かってるさ｣
sha｢そうやぞ？落ち込むなって！｣
ut｢…じゃ、僕もそろそろ寝るわ。君らもはよ寝るんやで。おやすみ〜｣
次々と談話室から消えていく面々を見送る。
眠れなくなってしまったから、眠くなるまでゆっくりしていようかな。
『…グルッペン、寝ないの？』
gr｢Aがおるからな｣
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