20.悔いはない ページ22
***
ci視点
助かるのは五人。
そう告げられた俺たちは、誰が残って誰がチケットを得るのかを決めることになった。
でも正直なことを言えば、地球に行ったとてまだ子どもである俺たちがすることと言えば、地球で言う義務教育から学び直しだ。
特に、俺とショッピは十五歳だし高校というものに通わないといけないらしい。そもそも一般教育もほとんど受けてへんしな。
ci｢うーん…｣
shp｢…｣
ci｢なんか実感湧かへんなぁ。流星がーとか、五人しか助からんとかさ。｣
shp｢せやな。でも実際、流星がこの星を襲ってるし俺らは片方しか助からん。｣
どっちも助からない、なんて馬鹿げた考えはとうの昔に捨てた。
助かろうがなんだろうが、心地いい場所が失われて仲のいい人間の死を見てまで生きたいとは思わない。
ci｢そうやねんなぁ。片方しか助からんのよ｣
shp｢…お前がチケット持ってったらええやん｣
ci｢なんで？ショッピくんが行きや｣
shp｢は？｣
実は知ってるねん。
ショッピくんに夢があることも、こっそり勉強してたんも。
いつも近くにおるから知ってるねんで？
shp｢俺は別に｣
ci｢ええってええって！俺別にやりたい事もこの人生に悔いもないし！｣
shp｢…｣
ci｢何やねん辛気臭い顔して！｣
嘘やないねんで。やりたい事もない、人生に悔いもない。
強いて言うなら、この生活がなくなってしまうこと。みんなと馬鹿やって笑うことがなくなること。
何よりも俺っていう存在がなくなってしまうのは怖い。でも、そんなん死ぬ時はみんな考えることやろうし。
夢があるのにわざわざ諦めんでもいいねんて。
ci｢俺の分まで生きて、夢叶えてや｣
shp｢！…いつから知ってたん｣
ci｢近くおったら分かるって。俺はショッピくんのこと忘れてるかも知らんけど、来世でも遊んでな！｣
shp｢来世？そんなんあるわけないやろ｣
ci｢あったら、の話やんか！ロマンがないなぁ…｣
いつものドライなショッピくん。
お前はそうやないとあかんやろ？またどうせ、どっかで会えるって。
そん時まで、生きとけよ？
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