【d!】落日を刻む (ページ16)

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14.真実ページ16

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不安げに揺れる瞳を伏せて、小さく口を開いた。

sha｢俺さ、自分で言うのもなんやけど女みたいな外見やんか｣

『…可愛らしい感じはあるね』

sha｢やからさ、その、何やろ…待ってな、｣

『大丈夫。ゆっくりでいいから』

腕を隠しがちだった彼は、ギュッと力強く自らの腕を掴んで小さく震えている。
無理に聞こうだなんて微塵も思っていないし、話すのも難しいほど色濃く残ったトラウマがあるのであれば話さなくっても私は気にしない。

人に知られたくないことくらい、誰にだって一つや二つあって当然だし。

『シャオくん、無理に話さなくていいよ？』

sha｢ううん、ちゃんと話すから、聞いとって｣

『…わかった』

顔色もあまり優れない彼の手を服の上から握る。
一瞬怯えたような表情をしたのを見逃さなかった。何となく、ただの勘でしかなかったそれは概ね合っていたらしい。

『ごめんね、怖いよね。離すから』

sha｢いや、離さんとって！そのままで、おって｣

『本当に大丈夫？震えてる…』

sha｢Aに怯える必要ないって、ちゃんと分からんとあかんから｣

弱々しく握り返された手のひらは、少しだけ濡れている。

sha｢俺、母親から虐待まではいかんくても、まあ、結構扱い酷くてな｣

彼がここに来た理由も全て、語られることになった。男らしくだとか、もっと強くなれ、だとかいつの時代の話をしているのか。
地球では随分昔に国同士が揉めて戦争になった事があるらしいが、徴兵制度というもので必ず男性は戦地に行かなければならなかった。

この星にそういった類のことはなかったけど、実際今が一番その戦争に似ているのかもしれない。

sha｢やから、正直女は苦手やし、今の今までAのことも好きやなかってん｣

『それは、薄々感じてはいたよ。よそよそしいなぁ、みたいな』

sha｢ごめん。でも、なんか、ちゃんと伝えらな後悔するって思ったから。｣

『…ありがとう。伝えてくれて』

きっと、流星の件がなければずっと知らないままだった。本来なら距喜ぶべきことだけれど、素直には喜べない。

sha｢夜遅くにごめんな、おやすみ｣

『おやすみ』

あと何度、この言葉が言えるのだろう。