10.お願い ページ12
***
二人の言い争いがヒートアップして、ついに彼が怒り始めた。
tn｢あ゛ー！うるさいねんお前ら！さっさと仕事せえ！｣
sha｢一番童貞臭いトントンに言われたないわ！｣
tn｢は、はぁ?!お、おま…はぁ？｣
ロボロの隣にいたトントンは顔を真っ赤にして、殺気を感じ取り持ち場を離れて走り出したシャオくんを追いかけ始める。
zm｢な、なんやおもろそうやんけ！お、俺も混ぜて｣
rbr｢やめとけって。仕事やらんと…｣
『あははっ！ごめん、ついおかしくって…！』
思わず零れてしまった声に、みんなはキョトンとしていた。
だって、まさか矛先がトントンに向くなんて思ってもなかったし、あの真面目なトントンがあそこまで怒るところを初めて見たから。
『ごめんごめん、えへへ、…』
ut｢…Aちゃん、大丈夫？｣
『なにが？』
kn｢俺らのためにしてるんか知らんけど、無理に笑わんでええ｣
『無理に笑ってなんか』
gr｢いいや。誰よりも無理してる。何をそこまで思い詰めているんだ？｣
何を、思い詰めてるのかって。
そんなの＿＿
『…だって、こうやって笑い会うことが出来なくなるかもしれないんだよ。当たり前だった日常が、なくなってしまうの』
そんなの、怖いに決まってる。
いつこの星が滅んでしまうかもしれないのに、悠長なことを言ってられない。彼らと笑い合うのが、今日この瞬間で最期になるかもしれない。
『…みんなと、まだ笑ってたいよ。死にたくない』
私の声だけが木霊する。本音なんて言いたくなかった。ただ、楽しいだけで思い出を埋めたかった。
shp｢考えすぎちゃいます？｣
ci｢死ぬなんて、言わんでや。何のために俺ら、こうやって頑張ってるん？｣
em｢生き残るために、頑張ってるんじゃないですか。やから、そんな悲観的なこと言わないでください｣
受け止めたつもりになっていた。
死んでしまったなら仕方ないなんて、本当は思ってもなかったくせに。
gr｢俺らは、絶対に生き残る。いいな。だから、泣くな。｣
『……うん、うん、そうだよね。ごめん、』
思わず流れてしまった涙を雑に拭ったグルッペン。冷たい言葉のはずなのに、酷く暖かくて優しい。
ああ、どうか。私たちをお守りください。
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