【d!】落日を刻む (ページ11)

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9.いざ、仕事ページ11

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淀んだ空気に薄暗い室内。
働く環境としては劣悪だけれど、大人でもない、子どもとも言いきれない年齢になった私たちにはこの場所しかなかった。

蒸気音やダンボールが擦れる音。
今までに聞いたこともないような音に包まれて、ただ一身に私たちは目の前の作業を熟す。

kn｢…腹減ったなぁ｣

ut｢シッマ、あともうちょっと頑張ろな｣

ベルトコンベアに流れてくる一人分のダンボール箱に、自分が担当している食料を詰めるだけの仕事。
単純作業だから、無心でやっていても疲れてくる。飽きが来て、横に並んでいる彼らが次々と話し始めた。

zm｢今日の飯何にする？｣

tn｢あーそうやな、クリームソース残ってたはずやしグラタンでも作るか？｣

zm｢ええなぁ、や、野菜も残ってたはずやから、サラダ作るわ！｣

基本的に料理の担当をしているトントンやゾムが夕食のメニューを考えてくれているから、そのお手伝いをすることもあるのだが、今日はグラタンらしい。

『何か手伝えることあれば言ってね』

zm｢ありがとう！頼むわ｣

gr｢デザートにプリンとかどうや?!｣

rbr｢それはあんさんが食べたいだけやろ｣

私たちの周りだけ騒がしくて、度々冷たい視線を感じるが特に何も言われない。
ここにいる人たちみんな、助かるかも分からないまま今まで続けている仕事をただ熟しているだけだから。

shp｢…疲れた｣

ci｢ちょ、手動かさなあかんってショッピくん！｣

shp｢お前も手動いてへんやん｣

em｢もう少しで時間やから、頑張ろう二人とも｣

騒がしい面々に囲まれ、少し辛くても頑張れる。
ふと、隣に並んでいた彼が喋っていないことに気がついた。

『…シャオくん、腕、捲ってあげようか？』

sha｢あ、え、…うん。ええよこのままで。ありがとうな。｣

『そう？』

rbr｢…なんやシャオロン、珍しいやん。Aに触られるん恥ずかしいんか？｣

sha｢お前と一緒にせんでくれるか？｣

暗い顔だったシャオくんは、ロボロの揶揄いのおかげで少しだけ調子を取り戻した。
普段から腕を隠している素振りがあったから、あまり触れない方がよかったのかもしれないなぁ。