【d!】最低な祝福、キスで落として。 (ページ7)

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成人式ページ7

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今年になってから、彼らはよく私を外に連れ出してくれた。理由は分からないけれど、毎回違う人たちが色んなところに連れてくれるから新しい発見がたくさんある。

『…甘いもの食べるんですね』
gr｢そらそうやろ。たまには食べんと｣
os｢多分そういうこと聞いてるんちゃうと思うで｣

組の中でも一番その雰囲気のあるグルッペンさんが、苦手そうな甘いものを好きだと聞いた時は驚いた。
辛いもの好きそうなのに、まさか甘いもの好きとは。

gr｢…そういえばA。｣
『はい、なんでしょうか。』
gr｢お前成人式どうするんや。振袖あるんか？｣
『え、成人式ですか？別に行く必要ないかなって』

落ち着いた雰囲気の喫茶店には合わない声量で彼ら二人が叫ぶ。そこまで驚くようなことでもないのに。
二人が顔を見合わせているうちに、手元にあるパンケーキを口に運ぶ。

os｢今年成人やろ？｣
『はい。と、言っても誕生日はまだ先ですけどね』
gr｢親と話せんかったんか？｣
『しましたけど、前撮りにしろ振袖を借りるにしろお金かかるじゃないですか。うちはそこまで裕福じゃなかったですし。』

もちろん、母は私の振袖を買ってあげると言ってくれたが一度きりの成人式のためだけに数十万円もかける気になれなかった。
最近は女性がスーツを着て成人式に行っても良くなってるんだから、スーツでいいかと思っていたし。

『…そもそも、わざわざ地元に帰ってまで成人式に行きたいかと言われると…って感じなので。』
gr｢そういうもんなんか？｣
os｢えぇ〜？俺Aちゃんの振袖姿見たい〜！｣
『そうは言っても流石にこんな直近で振袖なんてないですよ。』

それに、今はこの組でいるのだから迂闊に外に出ていられない。何があるか分からないし。

二人は納得のいかない表情をしていたが、私は完全に割り切っているし気にもしてない。今日はパンケーキだって食べられた。それだけで、十分だ。