初詣 ページ6
***
運転は任せろと申し出てくれたエーミールさんとシャオロンさん。二人の車に別れて乗り込み近くにある神社へ向かう。
真夜中ということもあり、住宅街や大通りも静かだ。しかし、神社へ近づくにつれて車や人が多くなっている。
em｢やっぱり多いですね。どうしますか？｣
tn｢とりあえず裏停めよか。誰かシャオロンにも伝えてくれ｣
ci｢俺が伝えるわ｣
あまり人目のないところに停めるつもりなのだろう。トントンさんの指示でエーミールさんは、神社を通り過ぎて小さな駐車場に車を停めた。
後ろから着いてきていたシャオロンさんが運転する車も隣に駐車した。
ni｢人多いな。どうする？流石に全員やと身動き取りにくいで｣
tn｢あー、じゃあ先に行ってきいや。俺ら待っとくし。｣
ci｢え〜？他の人らもこれくらいで来とるやろ。いけるいける！な、みんなで行こうや〜｣
全員で行かない方がいいと言う人たちと、面倒だから全員で行けばと言う人たちに別れてしまったがこのまま外でいるのは寒いので勘弁してほしい。
『…あの、寒いのでさっさと行きませんか』
tn｢せやな。Aもこう言うとるし。さっと行って帰ったら何とかなるやろ｣
zm｢A第一に考えんのはええけど、あまりに盲目すぎんか？｣
私のことになると盲目になるトントンさんだが、もう何を言っても聞いてくれなさそうだし。それなら私が思う最善の方法を提示してしまえばいい。
ゾロゾロと彼らを引き連れて歩く私は、どんな風に映っているのか。彼らはこの辺りで有名なヤクザだ。その中にただの女子大生が紛れているのだから、注目は浴びるだろう。
『…めちゃくちゃ見られてる』
ht｢そりゃあ、俺たちと一緒に女の子がいるからね。｣
shp｢暗くても俺らって分かるんすね｣
『この人数ですから。』
ただまぁ、逆に言えば一般人の方は彼らがいるおかげで近づいてこないし何となく道を開けてもらえているような気もする。
その後何事もなく神様に一年の抱負と両親、彼らの健康を祈って神社を後にした。
執拗に何を祈ったのかと聞かれたが、恥ずかしくて答えられたものじゃない。
秘密とだけ答えれば、残念がる人たち。一気に悲しそうにするものだから吹き出せば彼らも笑う。
居心地がいい。
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