新年 ページ5
***
あけましておめでとうと言い合う中、隣にいる人が新年一発目に放った言葉。
tn｢年越しをAと過ごせてよかったわ。このまま結婚しような。｣
『新年最初の言葉がそれですか。』
遅れて｢あけましておめでとうございます｣と口にすれば、忘れていたのか彼も同じように口にする。
私たちのやり取りを見ていた人たちは、ニヤニヤと口元を緩ませていた。
gr｢ほう…。お前たち仲がいいな｣
『別に良くないですけど。』
tn｢相性良さそうやろ？な、A。｣
『何言ってるんですか』
どうやら私の対応がウケたらしいコネシマさんとシャオロンさんが大きく口を開けて笑っている。笑ってないでどうにかしてください。
トントンさんの豹変ぶりについていけないし、今までのよそよそしさがあった分いきなり好きになってもらうなんて無理難題だと思うんだけれど。
悪い人でないことは分かっている。それでも、ただの一般人とヤクザが結ばれるわけがない。
『…もう遅いですし、みなさん早く寝ないと初詣行けませんよ。』
ut｢え、このまま行かんの？｣
rbr｢あほ。Aさん女の子やねんから危ないやろ｣
shp｢俺らおるしええんちゃう？｣
何だ、みんな元気だなぁと思っていればこれから初詣に行くつもりだったのか。しかし、私自身初詣は日中にしか行ったことがなくて、知人らが夜中に会っているのを羨ましいと思っていたこともあった。
そう思っていたのも中学生くらいまでの話で、単純に夜中起きていられないというか。目が冴えて眠れなくなりそうだから行きたくないのもあるし、夜は一層冷たい風に当たるしで行きたくないのだ。
『あの、私眠いので遠慮しますね』
zm｢え〜？行こうやA！｣
os｢朝行ったら人多いん違う？｣
ht｢そんなに変わらないんじゃない？明日ゆっくりするかしないかの差だよ。｣
もう既に睡魔がすぐそこまで来ているため、今から準備して行こうとすれば確実に倒れるだろう。
行きたくないと駄々をこねるわけではないが…。
そこで、一つ思い出してしまう。
彼らはヤクザなのだ。つまり、日中に大所帯で初詣になんて行けないのだ。夜中の方が行動しやすいのだろう。何でもっと早くに気づかなかったんだろう。
彼らとて初詣に行きたいだろう。神に祈ることだってあるはず。
ci｢A行かんの？｣
tn｢体冷やしたらあかんしなぁ。あれやったら俺も留守番するで｣
『…いえ、一緒に行きます』
ps｢え、ほんま〜？よし、じゃあ行こう！｣
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