蝋燭と拳銃 (ページ2)

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「…うん、迷った……」

スマホを何度も確認しても路地裏に誘導される。

路地裏って嫌なんだよね。暗いし怖いし治安悪そうだし。

可愛い愛犬のご飯を買いに行くだけでこんなに怖い思いしなきゃいけないのか。

いや、これを乗り越えたら俺も男になれるかもしれない、、！

少しの期間だけど空手やってたし大丈夫だよね。

「あーーもうどうにでもなれ……！」

運動できない俺なりの全速力。

誰かに追われている訳じゃないのに自然と走ってしまうのが路地裏効果なのだ。

なーんて頭の中でふざけていたら

タバコ吸ってる荷物たくさん持ってて柄悪そうなひょろひょろの人とぶつかってしまった。

「んわっごめんなさい！」

謝ったはいいもののすっごい睨んで来てる気がする。

ふと感じたのは…殺気。

素人の俺でもわかる。この人気が立ってる。

「……」

何も喋んないのがさらに怖さを掻き立てる。

「あの……お怪我しましたか……？」

「……見た？」

見た？見たとは何を？？そこのビルから出てきたとこ？それともお兄さんカッコイイなってお世辞でも言えない怖いよって思ったこと？

脳内会議をしても答えは出ない。口の中の水分だけが奪われていく。

目の前の細身の男はくしゃりと頭をかけばしょうがないなぁ、と言いたげな顔で

俺になにか液体を吹きかけた。

霧雨に当たった時のように顔が濡れれば俺の体が言うことを聞かなくなっていく。

よろ、と身体が倒れていき、細身の男の胸の中に入った時、

頭を撫でられる感覚を微かに感じた後、俺の意識は飛んだ。