君が好き。〈stpr 短編集〉

恋なんて【赤】 ページ10

*


「莉犬くんのことが、好きです」


在り来りだけど私の気持ち全部を込めた言葉だった。


「...ごめん」

泣きたいのは私の方なのに、どうして貴方が泣くの。

「嫌だったら言わなくていいけど、理由を教えて欲しいよ」
相談していたメンバーの皆さんにも「Aちゃんならいける！」って背中押して貰っていたから

「Aちゃんになら話してもいいかな」
そう言って近くの椅子に座ると、私にも座るよう促す。



「俺、もう誰かを好きになりたくないんだ。自分が重いのわかってるし本気になって結局傷つくくらいなら、もう恋したくないし俺に恋なんてして欲しくなかったんだよ」

悲しそうに、苦しそうに語る貴方の目はまるで過去を見ているかのよう

でも、それでも私は

「その気持ちを否定はしないよ、莉犬くんの経験上培われたものだもの。けれど私も受け入れた上で、私の気持ちも受け取って欲しい」

貴方と最後の恋がしたい。


「莉犬くんが大好きだよ、言葉の選び方が素敵なところも大事なときに噛んじゃうところも家では少しだらしなくなっちゃうところも歌に感情をこめるのが凄く上手なところも。全部、どんな莉犬くんも大好きなの」

伝わった？と聞きながら、溢れ落ちて止まらない莉犬くんの涙を指で拭う。

莉犬くんはそのまま私の指に手を絡め、大事そうに握った。


「うん、うん...！伝わったよAの気持ち。
ねぇA、俺もAのことが好き、大好き。
俺のこと離さないでいてくれる？」

「もちろん。最後まで離さないし離れないでね」



「良かったな莉犬...幸せになれよ」
「Aちゃんから話聞いてたら絶対成功すると思ったもんな」
「一度ごめんと言われても諦めないの流石Aちゃんですね」
「僕も彼女欲しくなってきたわ」
「上手くいって欲しいね」

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している


←歌ってみた【赤】

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す