誕生日 ページ7
NOside
12年前。
地下街は相も変わらず薄暗い。
そこを、1人の男性が息を切らして走り回っていた。
「ハァ……ﾊｧｯ……どこだ……」
誰かを探していた。
その数百メートル離れた所。
「っ……！や、だ……早く……逃げ……」
赤毛の少女もまた、息を切らして走っていた。1枚のワンピースは薄汚く、所々破れていた。幼い頃から着ていたのかその丈は身長に見合っていない。裸足で、足の裏からは血が滲んでいた。
地下街で見られる光景として決して珍しいものではない。どちらかと言えば当たり前に近い光景だろう。身寄りの無い子供が、ボロボロの状態で彷徨うのは。
違う点と言えば、彼女が走るだけの体力を持っているという点だけだろう。
「！見つけた…………！！」
「ひっ……！嫌……っ」
「逃げるなよ。俺は君の父親だよ？」
「ちが……違う……！」
男は貼り付けたような笑みを浮かべて少女に近づく。少女は曲がり角を曲がるが、運の尽きかそこは行き止まりだった。
絶望のあまりへたりこんだ少女。男は少女を追い詰めたという高揚感から頬を紅潮させている。そして後ろから抱きすくめ
「つーかまーえたっ」
と耳元で囁く。ぞわり、そんなものでは表せないほどの恐怖と嫌悪感を感じた少女。
動けない。頭は動けと言っているのに、体が動かない。逃げたいのに、この手から逃れたくて散々走ったのに。
抵抗出来ないのをいい事に、男は心許ないワンピースを容赦なく引き裂き、その肌に触れた。
「あぁ……A」
「っ……！」
その名を呼ばれた。涙が出る。嫌で嫌で仕方ない。気持ち悪い。
「やめ、て……！」
やっと動いた口から発せられたのは、か細い拒否。
「あぁA……どんな顔でも可愛いなぁ……」
酷く心酔しているような、心からの愛。しかしそれは狂気に満ちていて、13歳の少女に向けるべきものでは無い。
心からの愛に対し感じるのは、心からの恐怖だけだった。
「大丈夫……怖がることは無い。俺は君を愛してる。これは一種の愛情表現なんだよA」
「やだ……やだっ……」
口しか動かない。いくらやめてと言っても意に介さない。はなから聞く気などないのだ。
「やめてよ……
父さん……！」
A・スカラミア、13歳の誕生日の事だった。
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すみた先生(プロフ) - Gall〆Йさん» 温かいコメントどうもありがとうございます！アンケートの結果を見て考えたいと思いますので、もう少しだけ待っていて欲しいです。 (2021年3月27日 14時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
Gall〆Й(プロフ) - めっちゃ読みたいです！ (2021年3月27日 14時) (レス) id: 451d341f0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2020年12月12日 14時
