ヒロインにもビール瓶をむけるのは間違ってると思います！【るぅと】 (ページ3)

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1話ページ3

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A side

『…。』

私はいま無の境地に立っている。

そうだ、私は無だ。無の人間だ。

ﾊﾞｼｯ

『なっ、なんですか！？』

る｢何間抜け面してるんですか。
またヤられたいんですか？｣

そう言って鞄の中からビール瓶をチラつかせた。

『わっ、…あぁ、悪魔だ!!るぅとくん！
怖いよぉ…腹黒だよぉ…』

る｢ん？なんです？腹黒？｣

鞄の中に手を入れてビール瓶を握ってこちらをニコリと見るるぅとくん。

正直いって、凄く怖い。

夏休みが終わる直前に終わってない宿題を見つけた時よりも怖い。

『な、ナンデモアリマセンヨ…』

る｢そうですか。｣

もう言わせねぇぞという笑顔をこちらに向けたるぅとくんは、私の前の自分の席についてイヤホンを耳につけ音楽を聞いていた。

今なら聞こえないんじゃないか。

こんな馬鹿な考えをした私を殴り飛ばしたい。

『やーいやい腹黒！ボディブラック!!
裏るぅと!!』

ｸﾞﾙｯｶﾞｼｯ

『ﾋｪｯ…』

後ろをグルっと振り向いて私の頭をガシッと掴んだ。

る｢…。｣

無言の圧力…。

『あっ、あのぉ…るぅとさん？』

る｢ん？なんですか？｣

ニコリとまたまた黒い笑。

『この手はなんですか？』

自分の頭を指さしてそう聞くとギリギリと手の力を強めていった。

『いっ、痛い痛い!!はっ、はらぐろぉ…！』

る｢はい？｣

『ゴメンなさいっ！！もういいません！
るぅとくんは、裏表のない素敵な人です！』

るぅとくんはまたニコリと笑って前に向き直った。

てか、聞こえてたのかよ…

る｢まだ音楽かけてなかったんですよねぇ～。｣

『えっ!?聞こえてたの？』

る｢声に出てましたよ。｣

やっちまったぜ…

改めてるぅとくんが怖いと思った日でした。

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