29.ランナーの対話 ページ29
ミンホside
・
木板と仲良く包帯で巻かれた足。
思ったより治りが早そうだと気を許せば、すぐに痛みが襲うもんで、最近少々キレ気味である。
自分は心底運がないらしい…。
「って顔してるけど…？」
「…してて悪いか？現在進行形で俺は今、不運キャンペーン中だ」
見舞いも兼ねて、夕食を持ってきてくれた彼女は、自分の代わりに走る期間限定ランナー。
知識面では、新人らしさが滲み出ている。
しかし、彼女の走りは素晴らしく、十分な仕事をしていると、他のランナーから話は聞いていた。
…差別という訳ではないが、もう少し体力があればなお良いと思う。
男女の差とは、随分分かりやすいモノなのかもしれないな。
「はいはい。因みに私も、筋肉痛パーティー開催中」
「そりゃそうだ」
「そりゃそうよ」
膝に置かれた夕食に手をつければ、その様子を彼女は凝視していた。なんとも食べ辛い。
まあ、その理由もなんとなく予想がつくからいいものを…。
ミンホはナンを千切って、無理矢理Aの口に捩じ込んだ。
彼女から動揺と焦りの混じった声が聞こえると、してやったと言わんばかりに、彼はふっと嗤い、手の甲でコツンと、彼女の額に軽くぶつけた。
「…ねえ、新人を痛ぶる趣味でもあるわけ？」
「どっかの誰かと一緒にするな」
「どっかの誰かより酷い事したくせによく言うよ」
「…どうせまだなんだろ？」
彼女の事だ。
相手を優先する癖が、また発動したらしい…。
疲れてるくせに、休息するよりやるべき事なんて、実際ないだろうに。
優先順位がズレてるんだよコイツは。
「病人の朝食奪うくらいの勢いは何処いったんだか」
「奪ったんじゃなくて、貰ったね」
「分かった分かった。…とりあえず、お前も何か食べて来い。明日持たないぞ」
片手をヒラヒラさせて、ミンホは言った。
相手はランナーのリーダーだ。
それに揶揄いが含まれていても、言っている事は正論、Aは軽く返事をして、その場を後にした。
また、彼女の姿を視界の端で捉えていたミンホから、小さく肺から息が出る。
ベットの上、寝返りをうつも、すぐに寝られそうにないと悟るミンホ。
悟ったのは、
元から暗いこの場所が、やけに暗く感じるのは、ただの勘違いでしかないという事。
つまり、そういう事だ。
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未確認生物(プロフ) - あの、メイズランナー大好きです。私も書きたいと思ってます！ (2021年1月19日 21時) (
レス) id: 1ab2c3b0b2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - はい！頑張ってください！待ってます！ (2019年6月20日 17時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
おわに(プロフ) - ありがとうございます！更新は遅めですが、これからもよろしくお願いします！！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: 418a4a3702 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - 更新楽しみにしてます！ (2019年6月17日 22時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：おわに | 作成日時：2019年5月13日 2時
