27.そこにある物 ページ27
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ニュートと別れ、Aはデッド・ヘッドに来ていた。
ミンホとの約束もあるが、それとは別に、この場所に来てみたかった彼女は一石二鳥だと思った。
…果たして、あの時のミンホの真剣な表情の裏に、奥に何があるのか。
全く見当がつかない訳ではないが、やはり気になるもの。
…少し奥に行くと、1つの建物があった。
周りの木々が建物の周りを囲み、外からは見えないようになっている。
「…」
Aは中に入り様子見る。
大きなテーブルが場所を取り彼女に強く主張した。
恐る恐る手をテーブルにかかる布に伸ばす。
…あと少し。
「…っ」
目を見開く。
驚き以外には何も無かった。それはそのはず…
「それが真実だ」
「!」
彼はそう言って、中に入って来た。
彼女は彼からテーブルの上の物に視線を向ける。
「…これが何なのか分かるか?」
「何って、分かるも何もこれは…」
「「メイズ」」
そう。
テーブルの上にある物、それはメイズ。
もっと言えば、メイズの模型のような物だった。
細かく作られてはいたが、ドミノのようで、少し触れば壊れてしまうとも思えた。
しかし一部分が作られていない。
未完成の状態だったのだ。
「…この作られていない部分って」
「…ああ、その思考は間違っちゃいない」
「じゃあ…私をランナーに選んだのは何故?」
…彼女の疑問。
つまり、この未完成な部分が『出口』だとすれば、そんな大事な仕事を何故自分に頼むのかという点だった。
彼が積み重ねてきたモノを彼は自分で壊そうとしている。
Aはそう言っているのと同じだと思った。
…すると
「ふっ譲る気なんて更々無い。だが、Aには一緒に来て欲しいと思ってる。ランナーに選んだのはその為さ」
「…でも皆には怪我が治るまでって」
「察しろ。そう言わないと納得しない奴らが居たからな……検討はつくだろ?」
検討はつく。
今でも脳裏にあの嫌味ったらしい顔が浮かぶ。
「質問ばかりでゴメンだけど、私を連れて行きたい理由は何?」
「気持ちは分かるが少しばかり面倒になってきた…アルビーに聞いたんだが、Aは最初から名前を覚えてたんだろ?だったら俺たちよりも記憶が戻りやすいかもしれない。」
だからだ
スラスラと納得のいく理由を並べた彼。
自然と顔がニヤける。
「…ねぇ」
「なんだ、また質問か?」
「ミンホ、明日が楽しみよ」
彼もニヤける。
…だからランナーは辞められない。
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未確認生物(プロフ) - あの、メイズランナー大好きです。私も書きたいと思ってます! (2021年1月19日 21時) (レス) id: 1ab2c3b0b2 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - はい!頑張ってください!待ってます! (2019年6月20日 17時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
おわに(プロフ) - ありがとうございます!更新は遅めですが、これからもよろしくお願いします!! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 418a4a3702 (このIDを非表示/違反報告)
めろん - 更新楽しみにしてます! (2019年6月17日 22時) (レス) id: 5764f95332 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おわに | 作成日時:2019年5月13日 2時